入学後に苦労しないためにも、それぞれの校風をよく理解しておくことが大事
さてそんな難関入試を突破した子達には、その後どんな学校生活が待っているのでしょうか? 西村先生に聞いてみました。
難関校と言われる男子御三家ですが入試倍率は極端に高いわけではなく、2015年度入試の実質倍率は開成が2.96、麻布が2.31、武蔵が2.81という結果でした。とはいえ受験する子自体が粒ぞろいなので、合格者の学力レベルはかなりの高さであることは間違いありません。しかし、開成でも麻布でも合格者の300名は、入学後は1番から300番という成績順で評価されるようになります。
「全国で最も東大合格者数を出している開成は『頭のいい子』が輝ける学校です。部活や学校行事も盛んでそこで活躍する子もいますが、それでもやはり頭がいいことが一番尊敬されます。ですから、ギリギリで合格すると入学後は常に劣等感を味わうことになります。それを気にする子には向かない学校だと思います」
「一方、麻布は学力以外にも何か一つ得意なことがあれば尊敬されます。いわゆるガリ勉より個性的な子が集まる学校で、生徒同士があまり成績のことを気にしません」
「武蔵は文系指導に力を入れている学校なので入学後はレポートの課題に追われます。そのため、暗記で繰り返し覚える学習時間が他校より少なく、近年は進学実績があまり振るわない状況です」
…と西村先生が言うように、御三家を目指すのなら入学した後のことも頭に入れておく必要があるようです。とはいえ、いずれの学校も授業内容は充実しており、魅力的な学校であることには変わりありません。
ちなみに御三家出身者の将来について聞くと、開成は入学後もまじめに勉強する子が多いので、官僚、医者、研究者などに進む人が多いそうです。一方、麻布はまじめと非まじめがいるので職業の幅はとても広く、ユニークな仕事に就く人も多いとか。武蔵は中高6年間に鍛えたリポート作成力を生かして文系へ進む人も多いそうです。
(撮影/稲垣純也)