“偏差値教育”浸けの子ども達に、目の輝きを取り戻させるための活動を開始

 川島さんは、お子様の年齢が上がって思春期に入ってくることによって、親だけでなく子ども自身に焦点を当てることの重要性に気づきます。偏差値教育に浸かっている子ども達が「自身の力を発揮して目が輝く」ことを目的に、NPO法人コヂカラ・ニッポンを2012年に設立しました。

 筋書きのない実社会で、仕事を通じて自分が役に立つ(あるいは何かを達成する)経験をすることで、子どもの自立心や自尊心、そして考え行動する力を養うことを目的としている団体です。相手の役に立つということは価値創造です。よくある「1日だけパン屋さんでの職業体験」のようなママゴト体験やバーチャルの世界ではなく、ホンキの社会体験を子ども達に提供することに川島さんは意気込んでいます。

 現在の教育は学校や進学塾を含め、未だに“企業の大量一括採用”という高度成長時代のモデルに留まっている感じがします。人口動態の動向に支えられた右上がり時代には均一性が効率的でした。しかし、未来への新しい価値創造が求められている現在のニーズは多様性です。画一性ではなく、むしろとんがった特性を持った多様な人材を絶妙に組み合わせることによって新しい価値を創造する。

 これが、現在の日本企業の経営者が課されている大きなチャレンジです。川島さんは会社の価値創造を託されている経営者なので、このような多様性を育み、活用できる社会への問題意識に敏感なのではないかと察します。

 残念ながら、この時代潮流の変化にほとんどの教育界は気づいていないのではないでしょうか。企業の採用部門の現場も自分の言葉として消化できていないと感じます。なぜなら、今までやってきたような偏差値教育や一括採用など、尺度がある仕事のほうが量をこなすために楽だからです。

 でも、「正しい答え」があると錯覚しても、それだけでは新しい価値の創造に必要な「正しい問いかけ」がありません。

「答えがない世の中」を強く生き抜くための力を身に付ける団体を設立

 「答えがない世の中で、楽しくカタチにする」。これが現在の子ども達を育む大切な精神ではないかと思う同志が最近集まりました。私が代表発起人となり、川島さんにも発起人として入っていただき、「若年層起業家教育推進協議会JUNIOR GATE JAPAN」という団体を立ち上げました。事務局長は元大手商社の人事部を経ながらも、「問いかけ」を続け、人材育成の「新しいカタチ」をつくるために独立した若手起業家の永崎将利さんです。

 社会における自分の価値の本質とは、言われたことを言われた通りにやるという“順守”ではなく、思考を止めることなく、新しい価値をつくることに“チャレンジ”すること。これが、我々が思う「起業家」です。このような精神を、小学生のころから大切に育てることに賛同する同志のネットワークを構築することが基本構想です。

 恐らく今の世の中では、同じような問題意識を抱えている親御さんが多く、想いがシンクロナイズされていると感じています。デュアラーの皆さんが暮らす地域社会でも、同じように意識を持った同志の想いや働きかけが、必ずあるでしょう。まさに時代の過渡期であり、自然にこのような意識が広まっていると思います。