何から何までお世話が必要な乳幼児期もハードだけれど、10代前半から始まる“思春期”も子育ての大きなテーマ。「いつかは来る、わが子の思春期」を上手に乗り切るために、知っておきたい親子のコミュニケーションのポイントを探る連載「ついにわが家に思春期が訪れた」がスタート。4回目の今回は、「共働きの親は子どもの前でどうあるべきか」についてお届けします。

 夫婦共に働きながら子育てをしていると、「子どもに対して十分な時間をかけて向き合えていないのではないか」というジレンマを抱きがちだ。

 でも、「共働きだからこそできる愛情表現がある」と専門家は口をそろえる。

子どもの話をきちんと聞いてあげられているだろうか
子どもの話をきちんと聞いてあげられているだろうか

子どもに質問されたら…何と答えていますか?

 特定非営利活動法人スクール・アドバイス・ネットワーク理事長という立場で、学校教育と地域の連携によるキャリア教育を推進する生重幸恵さんは、「親が仕事を楽しみ、時に苦労しながらも仕事を通じて成長する姿をそのまま見せることが、子どもとの信頼関係を築く」と言う。

 子どもにとって、親は最も身近な“大人のサンプル”であり、“社会人の先輩”。将来、自分も踏み出すことになる社会でもまれている先輩の背中を見ながら、多くを学び取っていく。

 思春期の親子の信頼関係を助けるのが、子どもの親に対するリスペクトの感情だが、仕事を通じて社会とつながっている親の日常を子どもにも見せることで、「お母さんってすごい」「お父さんはいざというときに頼りになる」という発見につながるのだという。

 例えば、平日の夜、宿題をやっていた子どもがふとこんな質問をしてきたとき。

「ねぇ、お母さん。社会の授業でさ、『最近の工場にはいろんな国の外国人が働いている』って習ったんだけど、本当かな? どこの国の人達が日本に来ているのかなぁ」

 あなたはどんな答えを返すだろうか。