前編では、レモンの酸味が利いたバナナトーストを作ってくれた料理研究家の行正り香さん。お母さん譲りの手際の良さで、リンゴバターを仕上げてくれました。その合間のおしゃべりで分かったこと。行正さんのおやつはお手軽、教えは深い! アメリカ留学時代の料理修業の様子や、働きながら子育てする覚悟など、おしゃべりの続きをどうぞ。

リンゴにじっくり火を通す間はおしゃべりを


おやつはすぐに手に入る食材で道具もあまり使わずに作れるものがいい、と行正さん

日経DUAL編集部 前回の記事でご紹介いただいたバナナトーストは、しっかり甘くてその中でレモンが利いていて、何となくハワイのイメージも湧くような、アメリカンな印象でした。バナナトーストと並行してフライパンではリンゴが……。

行正り香さん(以下、敬称略) リンゴバターを作りましょう。リンゴの皮をむいて芯を取り、適当にスライスします。そしてバターを溶かしたフライパンで、弱火でじっくり……というか、放っておいていいというほうが近いかな。4~5分したら、砂糖を適量振りかけてさらに4~5分ほど火を通します。

 おやつだから、手軽に入る食材で、おなかすいたー!と言われてすぐに作れるものがいいですよね。

―― バナナもリンゴも最近はコンビニでも買えますしね。

行正 ワインもコンビニで買う人、多いと思うし。

―― ワイン……本当にお好きなんですね。

行正 私は、おつまみやワイン飲みながら食べるごはんだと、がぜんやる気が出るんです(笑)。

―― でもアメリカにいたころは、やる気になるとかならないではなく、毎日メニューを考えて料理していたのですよね?

行正 それが“仕事”だったんです。私は、高校を出たら働くつもりでした。そうしたら、高校3年の1年間、お世話になったホストファミリーのお父さんが「うちで働けばいいんじゃない?」って提案してくれたんです。2年間、住み込みで夕食を作りつつ、学費の安い近所のジュニアカレッジ(短大)に通ってみたらどうかって。


リンゴバターはリンゴにちょっと焦げ目がつくくらいがおいしい

アメリカで2年間、料理修業しつつ短大に

行正 そうやって、年間80万円くらいで地元のジュニアカレッジに通った後、最後の2年はカリフォルニア大学バークレー校に転入しました。滞在費はかからず、あんなに安い留学はもうできない気がします。その代わり、ホストファミリーのためにお料理してお掃除をした。それがすべて、今も役に立っているんです。

―― 今、大学に留学するっていったら、年間数百万円かかりますよね。

行正 福岡の実家で暮らしていたって年間80万円くらいはかかったんじゃないかな。その代わり、ホストファミリーの夕食を6人分、日曜日から木曜日まで毎日作っていました。金曜日と土曜日はお休みです。週に1回買い物に行く前に、本とにらめっこで1週間分の献立を考えて、予算内に収まるよう、買い物リストを作るんです。一食につき、必ず3皿作りました。それを19歳のときから2年間、みっちりやりました。

―― 行正さんのお料理を毎日食べられるなんて、ラッキーなホストファミリーですね!

行正 でも、全然おいしくなかったと思うよ、当時は。それほど料理の味にこだわる家族ではなかったからよかったんだね、きっと。写真に撮っておけばよかったです。ひどかったでしょうね!(笑) ホストファミリーとは今も仲良しで、去年もうちに泊まりに来ましたよ。

次ページから読める内容

  • げんこつの数で食べる量をコントロールする
  • 単純な引き算で仕事を辞めるのはもったいない
  • いいシッターさんには一任すると決めていた
  • 人を変えようとすることに意味は見いだせない
  • できないことも伝えることが思いやり

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