清潔な環境で暮らす子どもが、馬房掃除を通じて変わっていく

 常に清潔な環境で暮らしている現代の子ども達にとって、馬房を掃除するのも非常に良い経験です。もちろん最初は臭い、汚いと文句を言いますが、「きれいにお掃除しないと、ポニーが蹄の病気になっちゃうよ」「堆肥のなかでも、馬のものは最高級品で、甘くておいしい野菜ができるんだよ」と説明を加えていくことで、知的好奇心も刺激され、有機野菜などに興味を発展させていくといいます。草食動物である馬の糞は、実は時間が経てばそれほど臭くなく、なかには素手でどんどん拾う子もいるなど、都会っ子の神経質さは吹き飛びます。

 馬は人間より体温が高いため温かく、触れ合うことで温かみを感じ、一緒に行動することにより人の心を癒やしてくれる動物です。小動物のように一方的にかわいがる存在とは異なり、またがって乗れるというのも「乗せてくれてありがとう」という感謝の気持ちにつながります。そして、乗馬は身体的には全身の筋肉を使い、バランス感覚が身に付くスポーツでもあります。

 ただ、ポニーは110~147cmくらいの高さがあるため、やはり最初は触るのも怖いと感じてしまう子もいます。でも、引き馬に乗ったり、次に一人で乗って基本の常歩(なみあし)や速歩(はやあし)、さらに右に左に自由に進路を変更することができるようになると達成感につながります。経験の積み重ねで着実に進歩できるので、段階を踏んで怖さを克服することが可能です。さらには、ポニーが意のままにならない状態に折り合いを付け、自分の意志をしっかり伝えることで、ポニーと一体になる喜びも体験できます。

乗馬前に水やり。「これから乗せてね」と、優しく話しかける
乗馬前に水やり。「これから乗せてね」と、優しく話しかける

3泊4日の行程でも、初心者でも馬に乗れるように
3泊4日の行程でも、初心者でも馬に乗れるように