日経DUALではこれまで、東京や大阪に住む共働き子育て家庭を中心に取材を進めてきました。しかし、共働き世帯の増加は日本全国に共通するテーマのはず。地方の共働き世帯の本音を聞くために、編集部が走り回ります。新連載『地方デュアラーに訊け!』、第2回は神奈川県鎌倉市。地方というには都会ではありますが、特有の悩みと幸せがありそうです。二人のワーキングマザーにインタビューをしました。さて、どんな本音が聞こえてくるでしょうか(文中は仮名です)。

鎌倉在住“バリキャリ”デュアラー二人。都心のIT企業と新聞社の正社員

DUAL編集部 今日は日経DUAL読者でもある“鎌倉デュアラー(共働き)”のお二人にお集まりいただきました。それぞれ都内の有名企業にお勤めで、子ども二人を持つママ達です。まずは勤務状況から教えてください。

遠藤さん(仮名・以下敬称略) 私は外資系ITコンサルティング企業に入社以来、広報を担当していましたが、その後、経営企画部門に異動し、2年前から希望して営業に移りました。ITを使ったシステムを企業に導入してもらう仕事です。

 10年以上担当した広報職では、育休から復帰した後も目の前の仕事に追われながらも充実していました。でも、社内留学制度で経営企画に行ったことがきっかけとなり、“営業”という新しい職種で今までの仕事経験を活かしてみたいという気持ちが強くなりました。

 うちの会社は、子どもを産んだ後の離職率は低いと聞いています。個人の希望に合わせて様々な制度を利用したり、職種変更をしたりして乗り切る女性が多いと感じます。また、仕事をする場所や時間にあまり制約がないことが、ママやパパにとっての働きやすさにつながっていると思います。

神田さん(仮名・以下敬称略) 私は新卒で入った新聞社に勤務して20年近くになります。長野市や横浜市といった支局の記者を経て、本社の秘書部に異動。「記者をやりたいのに、なぜ秘書をやらなければいけないの?」という葛藤がありました。

 その2年後に記者職に戻り、政治部や社会部などを経験しました。政治家を追って料亭に張り付いたり、呼び出しの電話が鳴れば深夜でも現場に駆け付けたりする日々。朝も夜も、休みも無い、本当に忙しい生活でした。

 結婚は31歳のときです。結婚後もバリバリ働いてはいましたが「そろそろ子どもが欲しいな」と思うようになりました。しかし、記者職では忙しいのとストレスで、妊娠は「まず無理」という感じで。不妊治療も受けましたが、合わなくてすぐに諦めてしまいました。

 そんな中、突然、教育関連の事業部に異動が決まりました。新聞を使って教材を作る仕事を担当し、今もそこにいます。ストレスフルな記者職から事務職に移った39歳のころに、念願の妊娠をしました。

自然がすぐそばにあるのが鎌倉生活の魅力
自然がすぐそばにあるのが鎌倉生活の魅力