渡辺満里奈(セラ役)
 1970年11月18日生まれ、東京都出身。1986年、おニャン子クラブ会員としてデビュー。清潔感あふれる明るいキャラクターで、テレビ・CM・雑誌などに出演。オリジナルブランドをプロデュースするなど、さまざまなジャンルで活躍。絵本の読み聞かせコンサートやDVDなどにも出演。ナチュラルなライフスタイルをつづった書籍の評価も高い。2005年に結婚し、2007年12月に長男、2010年6月に長女を出産。
オフィシャルHP:http://www.marina-watanabe.com/

私は特にタイトルが好き。ぜひ声に出して言ってほしい言葉だから

──声優のお仕事は15年ぶりだそうですが、今回、セラの声を演じてみていかがでしたか?

「そうですね、主人公トロンの母として、トロンの心の支えになる、とても大切な役だったので、お話を頂いたときはすごくうれしかったです。私でいいんですかと思いました(笑)」

──特に楽しかったことや、苦労したことなどはありましたか?

「キャラクターの口の動きとセリフを合わせるのは、なかなかうまくできなくて、苦労したところではありましたが、全体的には、子どもを思う強くて優しい母親を演じるのは、とても楽しかったです」

──この映画の、見どころはどんなところでしょうか?

 「愛と勇気の冒険物語の中で、主人公トロンがいろいろな友達に出会って、成長していくというストーリーが、見ていて、とても勇気づけられるところですね。私が演じている、お母さんのセラがどうなるのか、というところも見どころです」

──ハラハラドキドキの展開に引き込まれました!

 「私も、驚きの展開満載だと思いました! 本作で、強く感じたのは、子どもは親の愛で成長するものなんだなということ。小さいころに愛された記憶や、自分がされてうれしかったこと、そういうものによって、トロンは人に対しても、同じように接することができたと思うし、愛された記憶がトロンを成長させたんだと思います。とても感動しました」

──小さい頃の、親からの愛情は大事なんですね。

 「そうですね。本作を見ながら、自分の子どもに重ねてみたりしました」

──本作は、渡辺さんがお母さんになってから、初めての声優のお仕事ですよね。お子さん達の反応はいかがですか?

 「家でDVDを見ながら練習をしていたら、『何してるの? 何やるの?』って聞いてきました(笑)。説明したら、喜んでいる感じでしたね」

──完成した作品を見たら、「ママ、すごい!」って言われますね。

 「どうなんでしょう!? どういう反応をするのか楽しみなので、映画館に一緒に見に行きたいと思っています」

──宮西達也さんの<ティラノサウルス シリーズ>は、とても人気の絵本ですが、渡辺さんも読んでいらっしゃいましたか?

 「今回、お仕事の話が来てから、初めて読ませていただいたんですが、子どもから『これ、幼稚園にあるから知ってるよ』と、教えてもらいました」

──本作に込められたメッセージなどを含め、この映画の特に好きなところはどんなところですか?

 「とても普遍的な愛が描かれていると思うのですが、私は特にタイトルが好きです。『あなたをずっとあいしてる』って、なんか照れてしまって、なかなか口に出して言えないかもしれないけれど、子どもだけじゃなくて、年を取って大人になっても、どんな人でも言ってほしい言葉だと思うんですね。言われたら、とってもうれしい言葉なのではないでしょうか。すごくストレートな愛を感じますし、大切な人がいる人なら、どんな世代の方達にも見てもらいたい映画だと思います」

──子どもも大人も、一緒に楽しめますよね。

 「そうなんです。今回は、脚本も宮西先生が書かれたということで、そこも見どころじゃないかと思います」

──渡辺さんは、ご自身も絵本の原作を担当されたり、読み聞かせコンサートをされたりしていますが、そういった活動から、子ども達にどんなメッセージを伝えたいと考えていらっしゃいますか?

 「絵本の原作では、子どもに最初に覚えてほしいと思った言葉から物語を考えたので、ありがとうという言葉や、言葉の裏にある気持ちを感じて、楽しんでもらえたらと思っています。読み聞かせの方は、音楽と一緒に楽しむというものです。物語の言葉と音を同時に楽しむというコンセプトで行っていて、楽しかったら手をたたいたり、自由に体を動かしたりと、素直に反応して、音の楽しさを感じていただきたいと思っています」

「『何も言わなくても当たり前』はナシにしよう」がわが家のルール

──おうちでも読み聞かせをされていますか?

 「はい、毎晩必ず絵本を読んでいます。子どもたちが好きな本を選んで、2冊とか3冊とか増えちゃったりすることもあります(笑)」

──日経DUALの読者は、夫婦共に仕事をしているママ・パパ達です。渡辺さんも仕事と家事・育児を両立されて、なおかつ、とても生き生きとしていらっしゃいます。渡辺さんならではの両立のコツやヒントを教えていただけますか?

 「いやいや、私なんて仕事をしているうちに入らないので……。フルタイムで働いているお母さん、本当に尊敬します。私はある程度、活動も制限させてもらっていますし、コツとかとんでもないですが……、そうですね、こうでなきゃいけないと考えると、すごくつらいので、何かできなかったことがあったとしても、まあしょうがないかと思うようにして、特にルールを作らずにやっていくことでしょうか」

──やるべきことが多いと、ついキーッとなってしまったりしますが、渡辺さんはそんなときはどのようにして気持ちを切り替えますか?

 「友達と喋って、愚痴を言うのが一番かな(笑)。私は、夫(お笑いトリオ・ネプチューンの名倉潤さん)にも両親にもサポートしてもらっているので、遠慮せずに『借りられる手は借りる』と思うようにして、感謝の気持ちを忘れずにいることで、何とかやっていますね」

──ご主人も積極的に家事・育児をされているのですね?

 「はい。特に分担とかは決めていませんが、お互いに気が付いたらやるという感じで、朝ごはんの後片付けをやってくれたり、家にいるときは子どもを見てもらったりしています」

──分担を決めなくても、夫婦の間に自然な呼吸ができているのですね。

 「そうですね。お互いに、あまり批判しないようにして、何かやってもらったら感謝する気持ちを忘れないようにしています。夫の方がしっかりしていますし、学校行事にもすごく積極的なんですよ(笑)」

──それはいいですね! 子どものしつけに関しては、どのようにしていますか?

 「もしも、きつい言い方で叱っていると思っても、子どもの前では何も言わないようにして、子どもが寝た後に『あの言い方はきつ過ぎない? 私はこう思うんだけど……』というふうに、夫婦でしっかり話をするようにしています」

──ため込まないことが大事なんですね。

 「思ったことを1つ1つ全部言っていたら大変だから、もちろん飲み込むこともありますが、折に触れて話したりと、コミュニケーションが一番大切だと思うんです。疲れているのはお互いに同じなので、話を聞き合って、同じ方向を向いて行きたいですね」

──ありがとうございます。では最後に、渡辺さんのように生き生きしながら、子どもも仕事も愛して頑張りたいと思っている読者に、メッセージをお願いします!

 「『あいしてる』って言葉もそうですが、何も言わなくても分かるのが当たり前だとか、そういうのはわが家では無しにしようと決めていて、思っていることは言葉にしようという約束をしています。ありがとうと思ったら、ありがとうと言う。愛してると思ったら、愛してると言う。その約束を子ども達ともして、何でも言葉にすることでコミュニケーションを大切にしていきたいです。でも、私も迷うことはあるので、皆さん、お互いに頑張っていきましょう!」

 次ページでは原作・脚本を手がけた絵本作家の宮西達也さんのインタビューをお届けします。