様々なジャンルの子どもの習い事に注目し、スクールの指導者や保護者へのインタビューをご紹介してきた特集「習い事のリアル~2015年春~」。今回は、習い事への取り組み方、親の接し方は子どもの「脳」の発達にどう影響するのか、脳の専門家である加藤俊徳先生にお聞きしました。

加藤俊徳(かとう・としのり)先生

「株式会社脳の学校」代表。加藤プラチナクリニック院長。発達脳科学・脳画像MRI診断の専門家。医学博士。14歳のころ、スポーツを通じて「脳に秘密がある」と直感し、脳を知るために医学部を目指す。最先端の脳機能検査法fNIRSの発見、小児科専門医としての経験、発達障害・自閉症の原因となる海馬回旋遅滞症の発見などを経て、「脳を育てる」方法を見いだす。主な著書に『脳の強化書』(あさ出版)、『脳を育てる親の話し方』(青春出版社)などがある。

脳は「脳番地」ごとに働き、「脳番地」ごとに成長する

 今日は脳と習い事の関係についてお話しします。大前提として、人間の脳は「脳番地」に分かれて働いています。脳番地とは、同じような働きをする脳細胞の集まりと、その脳細胞を支えている関連部位の総称です。

 脳番地には大きく分けると、「思考系(思考や判断)」「感情系(感性や社会性)」「伝達系(話す・伝える)」「運動系(体を動かす)」「聴覚系(耳で聴く)」「視覚系(目で見る)」「理解系(物事や言葉を理解する)」「記憶系(覚える・思い出す)」の8系統があります。

 脳は脳番地ごとに成長し、どの脳番地がよく育っているかによって、その人の秀でた能力が異なってきます。どの脳番地を育てるか意識することで、得意な領域をさらに伸ばしたり、苦手な領域を成長させたりすることができるのです。なお、それぞれの脳番地の成長度合いは、MRIなどを使った検査や診断で知ることが可能です。

習い事の特性により、鍛えられる「脳番地」が異なる

 脳番地の成長は一生続くものですが、0~6歳くらいの子どもは、1週間で脳の形が目に見えて変わるほど、急激に発達します。この時期に、脳番地にどんなインプットをするかはとても重要です。

同一人物のMRI脳画像。左は生後1週間、右は生後4カ月。白く映し出されているのが運動系・感覚系の脳の枝ぶり(髄鞘形成)で、わずか4カ月で大きく進展しているのが見てとれる。 ※『脳は自分で育てられる』(加藤俊徳著・光文社)より引用
同一人物のMRI脳画像。左は生後1週間、右は生後4カ月。白く映し出されているのが運動系・感覚系の脳の枝ぶり(髄鞘形成)で、わずか4カ月で大きく進展しているのが見てとれる。 ※『脳は自分で育てられる』(加藤俊徳著・光文社)より引用