「就業していないと保育園に入れない」。保活と転職活動が同時に

―― そもそも、それまで「保活」はしていなかったのですね?

滝川 待機児童の問題があるとは知っていましたが、どこかの保育園には入れるだろうと軽く考えていました。大きなおなかを抱えてハードな仕事をこなすので精いっぱい、生まれた後もバタバタと慌ただしく、「保活」に向き合う余裕が無かったというのが現実です。

 保育園の問題と、会社の経営難の話は同時にやってきました。2013年の11月でしたね。噂で会社の経営難を聞き、問い合わせてみたところ、「日本から撤退するかもしれない」と言われて。ちょうどそのころ、区の認可保育園の申し込みが始まる時期でした。そのときは、無知ゆえに「申し込みが始まるんだ」くらいの認識で、全く焦りは感じていませんでした。

 ところが調べるうちに、「就業していないと保育園に入れるのは非常に難しい」ことが分かってきて。募集要項を読むと、今仕事をしておらず、求職中の状態だと点数がかなり下がってしまう。“フルタイム8時間の共働き”という状態でないと保育園に入れないのが“大前提・オブ・大前提”ということを理解しました。

 仕事が無くなったら、保育園どころの話ではない……。それで、慌てて産休中に転職活動を始めたのです。

―― この問題は、他の保活ママからも多く指摘されています。仕事をしていない状態でハローワークで求職すると「保育園に入れるという確証はあるのですか」と聞かれ、保育園は、就労していないと申し込めない。制度のはざまに落ちてしまうと。

滝川 自分の業界の話で恐縮ですが、全く同じ話が「就労ビザ」でもあるのです。外国人が日本で就労したい場合、「ビザがないと働けない」。でも「働いていないとビザが下りない」。外国人就労と保育園入園は、構造的に一緒なんだなと思いました。

――  そこで産休中に転職活動を始め、現在の勤務先であるフランスの飲料メーカーへの転職を決めたのですね。語学のスキルが強みになったのでしょうね。

滝川 転職サイトに登録し、マッチングで紹介されました。収入は残念ながら2割半ほど減りました。

 駆け込み面接だったのですが、無事に採用されました。ただ誤算だったのが、保育園に入れる前提で3月末までは休むつもりでいたのですが、2014年の1月から勤務してほしいと言われたことです。

生後8カ月で転職先へ就業復帰することに

――  正直、子どもの成長を一番見たいときでしょうし、3カ月の前倒しはつらくなかったですか?

滝川 生後8カ月でしたので、会社のトイレで搾乳して冷蔵庫に入れさせてもらって持ち帰って、と。気持ちの面でも体力的にも大変でした。