自分の仕事が、他人からどのように見られているのかを知る機会は多い。

 お仕事は? と尋ねられて答えた時の相手の反応、親戚や友人の評価、異性の好感度、ローンを組むときの信用……。いろんな尺度で「この仕事はこんな風に見られているのか」と知る。得意になることもムッとすることも、こんなものだろうと思うこともあるだろう。

子どもの仕事観は家庭の会話から生まれてしまう

 どんな仕事も、している人にしかわからないことがほとんどだし、内容も知らないのに勝手なイメージを持たれて迷惑することもある。子どもに一言で説明するのも案外難しいものだ。

 子ども同士の会話には、各家庭の食卓の会話がまるまる出てしまうので恐ろしい。 よその家の仕事についてあれこれ詮索して話題にしている人は、子どもがそのまま学校でも喋る事を忘れないほうがいい。結局、間接的に相手に伝わってしまうので要注意ですよ!

 何年か前、「今日学校で、知らない子から、お前んち親がゲイノウジンだから金持ちなんだろって言われた」と息子が言った。ほほう、どこかのうちでは、子どもの前でよその家の年収を話題にするのだな。しかも勝手な憶測で。ちなみにその時私が住んでいた地域はすぐ隣町が豪邸街で、公立小とは言えリアルにプール付きのお屋敷から通っている子や著名人の子どももいたので、きっと噂好きな家では毎日家族団欒の話題には事欠かなかったであろう。

 噂話が好きな人とそうでもない人がいるが、もしかしたら子どもの頃に親がそうだったかどうかにかなり影響されているのではないかと思う。人事の話や近所のゴシップばかり聞いて育ったら、「話題=噂話」だと思うだろう。それが嫌で反面教師にする子もいるだろうから、必ずしも噂好きの子が噂好きとは限らないだろうけど。

「速報!人事ステーション野郎」っていませんか?

  しかしどうしてああも人事好きの人がいるのだろう。会社員だった頃も、入社した頃は愉快なやつだったのに3年もすると「速報!人事ステーション!」みたいになってしまう同期がいて、会う度にげんなりしたものだ。

 誰が社長の覚えめでたいらしい、誰が抜け駆けして出世したらしい、あの人はヘマして左遷だぜ、ま、俺は最近部長に可愛がってもらっているんだけどねとか、知らねーよ…そんなに人名覚えらんねーし…と私はいつも聞きながら瞳孔が開いていた。