育児が嫌だから“産後うつ”になるのではない

 よく誤解されるのですが、育児が嫌だから、うつになるのではないんです。生まれてきて多分初めて、自分よりもずっと大切な存在が常に自分の力を必要としているという状態、その緊張感に耐えられなくなるんだと思います。

 だから私のように、「まあどうにかなるさ」と無責任なくらいだと、うつな状態も比較的軽いんだと思います。これは産後うつのコントロール可能な部分。

 もう一つ、頭ではわかっていても、なんだか体から侵略されてうつになるという感じもありました。すごく赤ちゃんを大切に思っているのに、だからこそ、なんだかものすごく落ち込んでしまう。ホルモンの逆流のような感覚に翻弄されていたのかなぁ。これは、産後うつの不可抗力要素です。

とりあえず、産後うつをぶっとばすためには?

1.人間→哺乳類→人間という超めまぐるしい変化の中での戸惑いと割り切ってある程度諦めること

2.育児からちょっとだけ離れてリフレッシュすること

 この二つだと思います。

 まず、不可抗力な部分については、そういうものだと諦めることが肝要だと思います。落ち込んでいる自分に、名前をつけるというのもいいかもしれません。「哺乳類ちゃん」とか。「ホルモンちゃん」とか。もう一人の自分と「きょうは哺乳類ちゃん、ゴキゲンどうよ?」とか会話したりして。どうにか落ち込んでいる自分と付き合っていっていただければと思います。

 あ! でも、夫の皆さま、決して、授乳中の奥さんに「ホルスタインみたいだな」とか「哺乳類だなぁ」なんて言葉はかけてはいけません!! 「自分で思う」と「人から言われる」は、同じ言葉でも大違いなのです。「私ブスだから」と折に触れ言う私でも、「お前ブスだな」と言われると、死ぬほど落ち込みます。女なんてそういうものです。

 振り返ったら一瞬のことですが、その渦中にある人にとっては永遠に続くようなそんな絶望感があります。今、「産後うつかもしれない」と悩んでいる方は、とにかく6時間でも、赤ちゃんを預けて自分が主役の時間を取り戻しましょう。

 夫の皆さま、いつか奥様は元に戻ります。ちょっとの間、お願いです。大目に見てください。意味もなく涙が止まらないのは、心が流しているというよりも体が流しているのだと。

産後うつを、比較的軽微にするには、「罪悪感」を捨てること

 2番めのリフレッシュも大事です。これは、産後うつの期間を抜け出した後も、ずっと重要。

 映画でもいい。友達とくっちゃべってもいい。カフェでただぼんやりもいい。赤ちゃんのことしか考えられなくなっている「赤ちゃん脳」をちょっと休憩して、ちょっとだけ「自分脳」にいたしましょう。

 旦那さんに預けてもいいし、実家の家族を駆使できるならそれもいい。ベビーシッターに預けてもいいじゃないですか。ママ友と、交代交代でやってもいい。