この記事で取り上げる習い事は、「絵画・造形」です。「絵画」は、「バンダイこどもアンケート」(1995年)によると、女子の「今、習っている習い事」10位にランクインしています。今回は、東京都内で7教室を運営する「こども美術教室 がじゅく」を訪れました。(参照:「多様化と細分化が進むイマドキ習い事。その理由は?」)
考える、発見する、試行錯誤する――完成よりも「プロセス」を大切に
お話を伺ったのは竹下千尋先生。2歳児から中学生までを対象とする同教室では、作品(絵画・造形・図工)が出来上がるまでのプロセスの重要性を意識した指導を行っているそうです。
「作品の完成を目指すわけではありません。制作の過程で考えたり、気づいたりすることが大切。こうしたらうまくいった、こうしたら失敗した……という経験を積み重ね、学んでいくことをサポートしています」
幼児クラスのこの日の課題は絵画。空に浮かぶ気球とその背景を描きます。まずは先生が作ったお手本を見せて、手順を説明します。
「では、気球に模様を描いてみましょう。タテ線、ヨコ線、ギザギザ、水玉、チェック……、色々あるよね。背景は、町でもいいし、森、山、川、海、何でもいいよ。おうちが建っていたり、鳥が飛んでいたり、動物がいたりしてもいいね」
このように、まずは具体例を見せたうえで子ども自身に何を描くか決めさせるのだそうです。
「いきなり『好きなものを描いていいよ』と言われても、小さな子は何を描いていいか分かりません。だから、最初は色々な表現の例をこちらから提示して、表現方法の引き出しを増やしてあげるんです。最初は先生のマネでOK。マネしながらでも自分で描いてみれば、それはその子自身の技法として身に付きます。それを足掛かりに、その子ならではのアイデアを生み出していけばいいわけです」