サプリメントを利用するのも効率的ですが、市販のヘム鉄サプリメントのなかには、ヘム鉄の割合が少ないものもあるので、価格が安過ぎるものには注意してください。

 また、鉄分を多く含むフルーツとしてプルーンが知られていますが、実は、体内の鉄を吸収して排出してしまうペクチンも多く含まれます。糖質も高いため、おすすめはしていません。

 鉄には脳内神経物質のバランスを整える働きもあります。鉄不足が睡眠障害ややる気の低下といった「うつ症状」を引き起こすことがあり、うつだと思っていた患者さんが「単に鉄不足だった」というケースもあります。マタニティーブルー・産後のうつ・不安を防ぐのにも効果的ですね。

 鉄が不足すると胎盤肥大から難産にもつながります。妊娠中の鉄投与で低出生体重児が減るというハーバード大学のグループからの報告があるなど、妊活中も妊娠中も意識して取りたい栄養素です。

タンパク質を効率よく取るなら魚は刺し身で、卵は一日2~3個

(2) タンパク質

 鉄と並んで大切なのが、タンパク質です。私達の体はすべてタンパク質からできており、新しい命を生み出すためには、その材料であるタンパク質が不可欠です。

 一日に必要なタンパク質量の目安は体重1kg当たり1~1.5g。体重50kgの人なら50~75gです。生卵1個に含まれるタンパク質が6.5gなので、たくさん取るにはコツが必要です。

 タンパク質は大きく分けて(1)肉 (2)魚介 (3)卵 (4)大豆製品の4つ。なかでもヘム鉄とタンパク質を両方含む赤身の肉は最強です。

 植物性タンパク質よりも動物性タンパク質のほうが吸収されやすいことは先ほど説明しましたが、100gの肉を食べても100gのタンパク質が取れるわけではありません。効率よく取るために「プロテインスコア」を意識しましょう。

 タンパク質は20種類のアミノ酸でできており、プロテインスコアとは食べ物に含まれるアミノ酸を数値化したものです。100に近いほどアミノ酸のバランスが良いとされます。

 アジ(生)は78、牛肉は80、木綿豆腐は67、鶏卵は100なので、いかに動物性タンパク質が優秀で、なかでも卵が優秀であるかが分かります

 さらに、肉や魚のアミノ酸量は加熱することでほぼ半減するので、それも考慮して量を確保します。おすすめは魚の刺し身。また、卵は加熱してもアミノ酸量がそれほど減らないので、一日に2個でも3個でも積極的に食べてください。

 植物性タンパク質の食べ物でも、動物性タンパク質の食べ物を組み合わせれば栄養価は高くなります。冷ややっこにかつおぶしをのせたり、納豆に卵をのせるなど、組み合わせて取るのがおすすめです。