いっぱいいっぱいになったら弱音を吐けばいい

妻亡き後の暗黒の日々も周囲に支えられて乗り切ったと、清水さん
妻亡き後の暗黒の日々も周囲に支えられて乗り切ったと、清水さん

―― 具体的に清水さん自身が、看病と育児でいっぱいいっぱいになったときにしてきたこととは?

清水 勇気を出して弱音を吐くことですね。つらいときは「きついからちょっと話を聞いてよ」とか「飲みに行こうよ」って言えばいいと思うんです。

 弱音を吐くのってカッコ悪いし、話が重くて相手に悪いな、と僕も思ったりしますよ。でも、相手が吐き出してくれたから始まることってあるんです。「迷惑をかけることで始まることがある」と本の中でも書きました。悩みを打ち明けることで信頼関係に深みが増すこともあるでしょうし、実際そこで救われたり、いいアドバイスをもらえたりすることもあるでしょう。

 僕自身、昔はそういうことがうまくできなかったのですが、今回のことで、他人に甘えたり、愚痴を聞いてもらったり、弱音を言って楽にしてもらったりすることをちょっと学びました。一人で抱えきれないほどの苦しい状況になって、初めて「他人に助けてもらう」という手段に助けられたんです。

 ブログも結局、そういう場でしたしね。全部文章にして外に吐き出しちゃったわけですから。いくら吐き出したところで、目の前の現実は変わらない。絶望的な状況が改善されるわけではない。だけどそんな状況を見ていてくれる人がいる、分かってくれる人がいる、話を聞いてくれて「大変だね」と言ってくれる人がいる――それだけで、人って随分救われるんです。そういう理解者を自分の周りにつくることが大事だと思います。

仕事もできず、暗黒の日々を過ごす

―― 仕事に関しては、奥様が亡くなった後、一時休業していた時期もあったのですよね。

清水 妻を亡くしたダメージもあって、うつにもなってしまい、もう暗黒でした。当時は家の照明が点いてるのも苦しくて、ずっと電気を消して生活してました。明るさがもう、痛いんです。

 その時期はひたすら耐えることで、ゆっくり解決していきました。もちろん、その間も心の中ではものすごく焦っていましたよ。仕事を探さなきゃいけない。どこで、どうやって暮らすのか。幼い息子を抱えて、男2人でどうやって生きていけばいいのか……。あのときも、そんな僕達のことを心配してくれる人がいました。周囲に見守られ、助けられましたね。