子育てにも夫婦関係にも正解はないけれど、愛情が根幹にある

―― 子どもに関しては、生まれてきたときはただもう健康に育ってくれればいいと思っていたはずなのに、気がつくと様々な欲が出てくるものですよね。

清水 そうなんですよね(笑)。でも、ヨメに起きたことを考えると、やはり健康でスクスク育ってくれればいい、という思いは強いですね。そして、自分の意志で好きなように生きてほしい。親の押し付けにならないようにするためにできることは、きちんと子どもの話を聞くということでしょうか。

―― 子育てと夫婦関係、共に「正解」はないということ以外に、共通していることは何でしょう。

清水 愛情……でしょうか。この人のことは絶対に裏切れない、という愛情。映画でヨメのお父さんが「娘は私の誇りです」と言いながら泣いてしまう場面があるんです。あれは実際にもあったんですが、僕は義父の震える背中を見て「この人をこれ以上傷つけてはいけない。絶対裏切ってはいけない」とつくづく思ったんです。

 友達や家族の、ヨメに対する「何とかしてあげたい」「励ましてあげたい」といった感情。それも全部、愛情だと思うんです。親から娘への愛情、友人同士の愛情、ヨメからぺ~への愛情、夫婦の愛情……当時周りでは色々な愛情が乱反射していました。僕はその中心にいて、みんなの愛情がうまく回るよう愛情の交通整理をする役割だったんです。全員の愛情が損なわれることなく伝わる状況にしたいという思いで必死でした。

 そう考えると、愛情がすべてを動かしているのかなと思います。愛情ってそれが過剰になると、ときに滑稽なことも巻き起こしますし、悲劇も起こします。でも愛情があったから、僕達は何とか最後まで走り抜くことができた。やはり愛情がすべてを動かすエネルギーだったと思います。

―― 後編では、表に出してフーフー言うことの大切さについて、映画に込めたかったメッセージについて、清水さんに伺います。

清水浩司
『がんフーフー日記』(小学館刊、2011年)の著者・川崎フーフのダンナ。広島県出身。フリーライターとして、現在は広島を拠点に活動。著書に青春小説『ぼんちゃん!』(小学館文庫、2012年)、音楽的連作短編『真夜中のヒットスタジオ』(小学館文庫、2015年)など。


『夫婦フーフー日記』(配給:ショウゲート)。5月30日(土)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー。(C)2015川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会

映画『夫婦フーフー日記』
17年間友達で、ようやく結婚したと思ったらその直後に妊娠が分かり、さらにヨメが直腸がんであることが発覚。出産を経て闘病、育児の日々を夫婦でつづった闘病ブログは、「がんフーフー日記」として書籍化する。その映画版ではヨメが亡くなった後、〝突然、死んだはずのヨメが現れ、夫婦の日々を振り返る″というエピソードを加えて描く。監督は前田弘二、脚本は林民夫、前田弘二。ダンナ役に佐々木蔵之介、ヨメ役に永作博美。5月30日(土)より新宿ピカデリーほか全国公開。

(文/牧口じゅん 写真/平岩享 編集/Integra Software Services)