たとえ給与計算が煩雑でも、時短社員に戦力になってもらいたい

 一方、会社側も特にセール時期や土日などに人手が足りず、時短勤務者をもっと戦力化したい、という思いがあった。そこで取り入れたのが、「働ける日はフルタイムで」という時短勤務制度だ。

 ワーママ社員があらかじめ「フルタイムで働けることもある」社員として登録しておけば、会社側との合意を前提に、1カ月ごとのシフトを組む際、月9日までフルタイム勤務を申請することができる。もしフルタイム勤務日に超過勤務が発生すれば、通常の社員と同様に手当などが支払われる。

 「時短勤務者が日によってフルタイムにすると、給与計算が煩雑になるなど経理上の手間はかかる。それでも時短勤務者の戦力化、そして社員本人のキャリアアップのために、制度を取り入れた」と人事政策担当次長の明父正隆氏は狙いを語る。

同様のパフォーマンスを期待するから、時短でも給与下がらず

●楽天の場合
【裁量労働制社員は、時短勤務でも減給なし】

 楽天では給与面で、ワーママにとってうれしい仕組みを取り入れている。

 裁量労働制が適応されている社員は、時短勤務期間中も通常通りの給与額が支給される。時短勤務の社員にもフルタイム勤務と同様のパフォーマンスを期待するためだ。半期に一度の評価が給与額に反映され、時短勤務でも成果を上げていれば給与額の維持、さらにアップを目指すことも可能だ。

 3社に共通して言えることは、「育児中の女性を、きちんと戦力として考えている」ことだろう。

 キャリアアップを考えて評価で不利にならないようにし、さらにテレワークという効率的な働き方を提供する日本マイクロソフト。「この日は働ける!」というやる気や積極性を買い、戦力として活用する高島屋。給与を減らさずパフォーマンスを期待する楽天…。

 時短を取っていない社員との不公平感などに悩む企業は多いが、「期待しているよ」という扱いは時短社員のモチベーションをアップさせ、組織全体を活性化させることにつながるだろう。

(取材・文/砂山絵理子)