出産して産休・育休を取り、会社に復帰する多くのワーママが時短勤務(短時間勤務)を取ります。時短勤務には、法律に定められたものと、企業独自の判断で設けるものがあります。法律に定められた「短時間勤務制度」はどの会社にも設けられていて、条件を満たした人であれば誰でも利用できます。

 ただ、勤務時間を減らせばその分だけ給与も減少するのが一般的です。また評価がチームごとの相対評価だったり、仕事量に基づいたものだったりして、勤務時間が短いことが不利になることも多くあります。

 働くママがキャリアアップするのはまだ難しい日本の社会。企業も女性活用策などに頭を悩ませています。そんななか試行錯誤を重ね、柔軟な働き方や、ワーママに不利にならない評価・給与制度などを取り入れて、時短社員を戦力化している企業を紹介します。

 時短勤務ママ特集、「時短勤務ママ座談会(上)私の最大のストレス」 「時短勤務ママ座談会(下)子どもに自慢できる仕事がしたい」に続く3回目です。

時短でも公平評価。でもテレワークはもっと便利

●日本マイクロソフトの場合
【時短勤務を長く取る人は、実は多くない】

 「隣の人と比べてどう働いたかよりも、一人ひとりの仕事の質を評価することを、重視した」

「働き方の選択肢があることが重要」と話す日本マイクロソフトの道添未幸氏
「働き方の選択肢があることが重要」と話す日本マイクロソフトの道添未幸氏

 日本マイクロソフトは1年半ほど前、それまで一部取り入れていた相対評価を廃止した。全世界で共通の決定だったというが、「自分の仕事がマーケットにどんな『価値』をもたらすか、という視点を、社員にもっと持ってもらいたかった」と人事本部C&Bグループシニアマネジャーの道添未幸さんは言う。結果的に、働き方の質を重視する時短勤務者にとっても、ありがたい方針となったようだ。

 同社の評価制度はシンプルだ。上司と社員が「出すべき成果」について明確な目標を設定する。その目標に基づいて「いかに達成できたか」で評価が決まる。業務量で評価されるわけではないため、時短勤務者に不利になることはない。

 育児を支援する制度としては、1年ほど取得できる育児休業のほか、小学校1年生の年度末まで最大3時間半、働く時間を減らせる時短制度がある。興味深いのは、育児や介護をしている社員が時短勤務を取る場合、減らすのが1時間なら給料は減額されないことだ。「1時間なら工夫でやりくりして、同じアウトプットができるだろう」という理由から。この場合、仕事量もフルタイムと変わらない。

時間制約のある社員を抱えても結果を出す方法は…?

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