最寄り駅から徒歩1~2分と雨にもぬれずに送迎できる「駅型保育園」が都心を中心に増えている。小田急、京急、京王など鉄道各社を中心に大手企業が経営に乗り出し、注目度は高いが、その利便性以上に気になるのは、実際の保育の中身。東京・世田谷区の高級住宅街、成城にある保育園を実際に訪ねてみた。

お迎えも買い物も、雨にぬれずに駅から1分!

 落ち着いたハイソな雰囲気が漂う都内屈指の高級住宅街、成城地域。玄関口となる小田急線の成城学園前駅で降りて目の前のショッピングセンター内にある「小田急ムック成城園」は、最近増えている「駅型保育園」の一つだ。

 駅ナカ(駅の中にある)、駅チカ(駅のすぐ近くにある)という好立地にある駅型保育園の多くは大手企業などによる民間経営。改札の目の前、駅アーケード内にあるので電車を降りてから1~2分で送迎ができてしまう便利な立地が魅力だ。子どもの保育園が親の通勤経路にあることは誰もが理想に思うことだが、ここまで理想にかなった立地はなかなか無いだろう

 小田急、京急、京王などの鉄道各社はここ数年、保育園経営に力を入れている。取材に訪れた小田急ムック保育園の成城園もその一つ。東京都の認証保育所として、0、1、2歳児を受け入れている。

 「保育事業は、女性の社会進出支援と将来の担い手である子どもの成長のお手伝いができる意義深い事業。育児も仕事も精一杯のなかで、保育園の利便性、特に立地は大事だと思います。小田急グループは鉄道や駅周辺で行える事業環境に恵まれていました」

 運営する小田急ライフアソシエの保育事業部、山口巧さんが、駅型保育園を始めるに至った経緯を話してくれた。

テラス側の、明るい光の入る部屋は0歳児クラス。スタッフに囲まれてゆったりと遊ぶ
テラス側の、明るい光の入る部屋は0歳児クラス。スタッフに囲まれてゆったりと遊ぶ

 こうした保育園経営に乗り出す企業は多いものの、保育園経営のノウハウが無いところから、どのように始めるのだろうか。

 「他社も同じだと思うのですが、まずは、保育園経営や勤務経験のある経験者を採用したり、現状や必要な規定について学んだりする準備段階から始めました。少しずつ企業と保育の接点を見つけていき、自分達ができることはどんなことなのかを考えて、準備してきました。どんなに準備をしても最初は手探りの部分がありましたが、年月が経ち、保護者の方にもスタッフにも信頼してもらえる園ができるようになってきました」

 2015年5月現在で、系列の小田急ムック保育園は10園にまで広がった。

保育園の入り口には小田急線の電車のモデルが並んでいた
保育園の入り口には小田急線の電車のモデルが並んでいた