私自身も栄養療法による不妊治療を受けて、2児を授かった

 私がこの仕事をしているのは、自分自身の苦い経験からです。20代前半の私は、とにかく痩せたくて「こんにゃくかサラダしか食べない」などの無理なダイエットを続けた結果、生理が年に数回しか来ない状態になっていました。にもかかわらず、「生理が無くてラクでいい」と思っていたくらい無知だったのです。

 24歳で結婚しましたが、当然、そんな状態では子どもを望んでもできません。婦人科を受診すると無排卵月経であることが発覚したのです。

 そんなとき、ニキビの治療で通っていた皮膚科の先生の紹介で栄養療法に巡り会いました。カウンセリングを受けると、ひどい栄養欠損であることが分かりました。そこから食生活を改善し、サプリメントで栄養を補うと、やがて生理が毎月来るようになりました。

 33歳のときに念願の妊娠が判明。そして39歳のときには第二子の長男を出産しました。私の世代ではあり得ないくらいの高齢出産でしたが、妊婦生活はつわりもほとんど無く、貧血やだるさにも悩まされず、仕事をギリギリまでして無事出産しました。これもすべて栄養療法のおかげだと思っています。

 39歳で息子を産んだので、息子が20歳のときには自分は59歳。息子のためにも、いつまでも若くキレイなお母さんでいようと心がけてきました。いよいよ今年還暦を迎えますが、「その髪は付け毛ですか?」と言われるほど、豊かなツヤツヤの髪の毛が私の自慢。髪の毛も肌もタンパク質でできています。日ごろからタンパク質をたっぷり取っているおかげですね。

 20代でも栄養面がボロボロでは妊娠生活はつらいものになります。食べ方を変えれば、年齢に関係なく、快適な妊娠生活が送れると私は信じています。

 生まれてくる子どものためにはもちろん、自分の健康のためにも必要な栄養を取ることを見直してみてください。

定真理子
新宿溝口クリニック・チーフ栄養カウンセラー。愛知県立大学、仏グルノーブル大学にてフランス語を学び、通訳、翻訳の仕事に携わる。栄養療法によって自身の不妊症を克服したのをきっかけに、分子整合栄養医学を学ぶ。講演やセミナー、雑誌などでも活躍中。著書は『35歳からの栄養セラピー 妊娠体質に変わる食べ方があった!』『「女性ホルモン力」がアップする食べ方があった!』(ともに青春出版社)など多数。

(文/中島夕子 人物写真/蔵真墨)