子どもがネットを使うようになると、これまで体験したことのないリスクが降りかかってきます。子どもをネットの危険から守るために、親は何をすればよいでしょうか。この記事では、『こどもあんぜん図鑑 スマホ・パソコン・SNS よく知ってネットを使おう!』(講談社)の監修を務めた千葉大学教育学部教授・副学部長の藤川大祐さんにお話を伺いながら、親と子どもが一緒に取り組める新たな危険とその対策について考えていきます。

小学生は、キッズ携帯かキッズスマホで十分

──MM総研の調査によると、2014年12月末のスマホ契約数構成比は52.3%で、ガラケー契約数構成比は47.7%。一般的には、ガラケーよりスマホを使っている人のほうが多いという結果が出ています。小学生は、どうでしょうか。やはり、スマホを使う子どもは多いのでしょうか。

 いえ、実はスマホを持っている小学生は、さほど多くありません。内閣府/「平成25年度青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、自分専用の携帯電話(スマホを含む)を持っていると答えたのは30.3%。そのうち、スマホ(パソコン向けのインターネットサイトを見ることができる、一般的なスマホ)を持っている小学生は13.6%で、子ども向け携帯電話(メールやインターネットサイトが見られない携帯電話およびPHS)を持っているのは60.6%という結果が出ています。

 以前と比べると、確かにスマホを持っている子どもは増えてきています。しかし、その大半は普通のスマホではなく、子ども向けスマホです。子ども向けスマホは、アクセスできるサイトは限られていて、アプリの追加も不可能。当然、LINEやTwitterもできません。一般的なスマホとは、かなり違うものと考えてよいでしょう。ですから、子ども向けスマホについては、それほど心配する必要はありません。

──とはいえ、子どもは「LINEを使いたい」「Twitterしたい」と言いますよね。大人と同じスマホは、何歳から持たせてもよいでしょうか。

 それは、その子の成長によっても違いますから、一概に何歳とは言えません。

──成長の度合いは、どうやって判断すればよいですか。

 それでは、具体的な例を挙げましょう。夜遅くまでにぎわっているような繁華街の入り口に、子どもを立たせたところを想像してみてください。あなたの子どもは、無事帰ってこられますか? それとも、ちょっと心配でしょうか?

「スマホを持たせる年齢は、親がその子をよく見て判断してほしい」
「スマホを持たせる年齢は、親がその子をよく見て判断してほしい」

 子どもにスマホを持たせるということは、一人で繁華街の入り口に立たせるのと同じ。その中に入っていけば、知らない人から声をかけられるかもしれません。そこで問題になるのが、そのとき適切な対応ができるかどうかということ。危険に対して十分な警戒心を持っている子どもなら、声をかけられてもそれを無視できますから大丈夫です。その反対に、すぐに知らない人にだまされそうな子どもは、一人で繁華街には行かせられませんよね。そういう子どもには、まだスマホを渡さないほうがよいでしょう。