15時までの勤務、制度にあっても上司はNG

── フルタイムから時短に切り替えてみて、どんな点がよかったですか?

矢口 フルタイムで復帰したときは、産休前と同じ仕事をより短時間でこなそうとするために雑談の時間ももったいないという感じで、どんどん合理性重視になりました。すると、コミュニケーションが削られていく。広報の仕事にとってそれはあまりよくないことだと思いました。時短に切り替える際は、その分業務量も減らしてもらったので、心の余裕ができました。また、時短を取らせてもらっている分、長時間働くこととは違う形で組織に貢献しよう、というモチベーションも生まれました。

── 初めての職場復帰。仕事と家事・育児の両立はスムーズにいきましたか?

守谷 私は最初、15時までの時短を希望したのですが、周囲の人が遅くまで働いている中、それはちょっと……というのが上司の意見で認めてもらえませんでした。結果、出勤時刻を早めて「8時半~15時半」ということで妥結しました。職場には、時短でも残業を結構している方もいて、上司も残業ありきで私に話をしてきたので困ったのですが、「自分は残業をしない」と主張して、勤務を始めました。

 ところが、いざ働き始めてみると、残業せざるを得ない状況はやっぱりでてきて。15時半までに絶対終わらせなきゃという気持ちが、自分の首を絞めることもありました。急に他人から仕事をふられると、「お迎え」と「仕事」をてんびんに掛けてすごくイライラするんです。それがすごいストレスになりました。その後、友人のアドバイスがあって、迎えの時間を30分後ろにずらしました。30分余裕を持たせただけで、だいぶ気持ちにゆとりが持てました。また、子育てはするけど「家事はしない」と自分で決めて、平日は総菜を買ってもいいことにしていました。そのうち仕事も慣れてきて、うまく両立できるようになっていきました。

家事代行やシッターさん、ママ友が味方

樫野 私の会社では最低5時間勤務すればよく、時間帯を自由に設定できます。私は16時半までにしました。復帰後に異動があり、現在の部署では「時短の人はきっちり帰る」という雰囲気があるので、時間通りに帰ることができています。

矢口 第一子のとき、家事のことで夫婦げんかが多かったのですが、家事代行やシッターさんを活用するようにしたらけんかが減り、必要経費だなと思いました。シッターの面接は夫婦で立ち会うようにしているので、不安はありません。家事代行は外国人の方が来てくれるサービスを利用しているので、英語の勉強にもなって一石二鳥だなと思っています。

青山 私は友人や同じマンションのママ友に頼ることでなんとかなっています。自分でも、頼まれたら快く引き受けるようにしていて、困ったときには頼り合える関係があります。また夫は、朝遅くてもよい仕事なので、保育園の送りは夫、迎えは私、というふうに分担しています。