『ぐりとぐら』『いやいやえん』など、数多くの童話で知られる中川李枝子さんが、働くママやパパの悩みに答える『ママ、もっと自信を持って!』。今回は同じ年齢の子どもと自分の子どもをどうしても比べてしまうという母親の悩みです。

Q.わが子の成長をどうしても他の子どもと比べてしまいます

 0歳の娘がいます。同じ年齢の子ども同士を遊ばせる場にいくと、「うちの子はハイハイがまだできない…」「お座りも不安定…」などと、わが子の成長の段階が気になり、ほかの子となんでも比べてしまいます。乳児健診で指摘されるようなものではなく、個人差であることは重々分かっているのですが……。できない、遅いととても不安になります。


A.目の前の事実をそのまま受け止めて。素直に憧れることはとてもいいことですよ

────0歳に限らず、このお悩みはどこの親でも考えることではないでしょうか。

 気にしなくていいんです。比べることでもない。だって、子どもは一人ひとり生まれかたから違うでしょう。切迫流産しそうになったり、早産だったり、予定より早く生まれてきちゃう子もいれば、産道で休憩してなかなか出てこない子もいる。本当にいろいろです。

 そもそも違うんだから、〇〇ちゃんはああで、○○ちゃんはこうで、うちの子はこうで…でいいんです。目の前にいる子どもをそのまま見て、そのまま受け止めればいい。

────今回の相談者のようなお母さんは、みどり保育園にはいらっしゃいませんでしたか?

 どうだったかしら…。私がまったく気にしないから(笑)。

 ひがんだり、妬んだりする必要はないけれど、「あの子はできていいなぁ、すごいなぁ、うらやましいなぁ」と憧れるのはとてもいいことだと思います。子ども自身がそう思うことも。自分より素敵なことができる子を見たら、〇〇ちゃんはすごい、自分もあんな風になりたいと意欲的になるでしょうしね。

 たとえば、みどり保育園の園児たちにとって、年長のお兄ちゃん、お姉ちゃんは、年上というだけで憧れの対象でした。翌年には小学校に行くとなると、とてつもなく立派で格好よく見えるみたい。羨望の眼差しで、次は自分もああなるぞ、って。憧れられているほうも嬉しいのよね。優越感を持って、急に年上ぶったりしてね(笑)。

 子どもが自分で名前を書けるようになることも、憧れが出発点だったりします。お友達が書けて自分が書けないなら、書いてみたいと思うようになる。分からなければ親や先生に聞いて教わればいい。やる気が起きれば、子どもはなんでもできるようになります。できるようになる手応えを子ども自身がつかめば、自信にもなります。

 だから、子どもが「いいなぁ」と言ったとき、お母さんが心配性でひがみっぽいと、子どももそっちの方向にいきがち。親の受け止め方や、持っていき方が大事よね。

────では、子ども自身が「○○ちゃん、いいな、羨ましいな」と言ったときの親の対応としては、「いいね!」でいいんですね。

 そうですよ、一緒に「いいわね」「すごいね」と喜んで気楽になってください。そこで「あなたもがんばりなさい」なんてことは、言わなくていいんです。