中野円佳さん(以下、敬称略) 就職活動をしていたとき、皆さんはどのような考え方をしていましたか?
Bさん(以下、敬称略) 父が自営業だったこともあり、「好きなことを形にするのが仕事」という感覚でずっときました。就職したときはやりたい仕事かどうかしか見ていなかったですね。県立高校を出て国立大に入ったのですが、競争を勝ち抜いたという感覚はありませんでした。好きなことをやればいいという価値観で育てられたので。働き始めてから、私の好きなことは長時間労働を伴わないとできないことが分かり、そのどちらかを選ばないといけないというのはつらかったです。
Cさん(以下、敬称略) 私は、就活したときは女性にとっての働きやすさまで考えていませんでした。ただ、内定をもらった2社で悩んだときに、バリバリ働いている女性がいる職場はいいのではないかと思えて、今の職場を選びました。
Aさん(以下、敬称略) 私は当時付き合っていた今の夫が1年先に証券会社に就職していたので、影響を受けて自分も金融に進もうと決めました。職種が総合職、エリア限定総合職、一般職とあり、エリア限定職なら内定はもらえるだろうという自信はあったのですが、将来、自分のキャリアパスが限定されてしまって、同じような学歴の女性がどんどん昇進しているのを悔しい目で見るのはイヤだと思って総合職を受けることにしました。結果的にそれでよかったと思っています。
Dさん(以下、敬称略) 就職を決めたときはワークライフバランスをまったく考慮せず、「ワーク:ライフ」が「100:0」で仕事を選びました。研究者の道を進むか企業に就職するかで悩んだのですが、自分で稼げるようになりたかったのと、研究者が性分にあっているか分からなかったので、就職することを選びました。
―― 自著『「育休世代」のジレンマ』でも、女性にとっての働きやすさを重視せずに就職活動に突入する女性達のその後を追っています。前回の記事で、座談会参加者達が先々について不安を抱える様子をお伝えしましたが、その背景にはこうした「やりがい」重視の仕事選びの結果がありそうです。