大企業の新卒採用に占める総合職女性の割合がかなり増えてきた2000年代に入社した「育休世代」。私、女性活用ジャーナリスト・研究者の中野円佳が昨年9月に出版した『「育休世代」のジレンマ』という本では、主に「20代で出産した子育て中の育休世代」をインタビューしましたが、今回の座談会では「子どもを産む前だってモヤモヤしています!」という産む前の女性達の声をヒアリングし、分析しました。2本立て記事の第1回(子どもを産む前の「育休世代」のモヤモヤを聞いて!)に続いて、第2回をお届けします。
 フェイスブック社COO、シェリル・サンドバーグ氏の著書『LEAN IN』には、若い女性が結婚予定の相手さえいないうちから子どもを産んだときの不安を胸に抱き、先々を不安視して挑戦しなくなってしまう様子が描かれています。日本でもこの「幻の赤ちゃん」問題は深刻。子どもを産んだ女性がある意味で様々な制度的メリットのありがたみを知って大企業に残ろうとする反面、20代で結婚や妊娠の前からモヤモヤしてしまい、意欲を冷却させる女性が増えている気がしています。産む前の女性達はどのようなことを考えて仕事や結婚に向かい、どのようなジレンマにはまっているのでしょうか

【座談会参加者プロフィール】
Aさん 私立大(商学部)2007年卒。大手金融機関の総合職に就職。社会人3年目で結婚。
Bさん 国立大(文学部)2007年卒。映画配給会社→ITベンチャー→人材会社→フリーに転職。
Cさん 私立大(法学部)卒後、国立大学院(文系)を2009年卒。政府系機関に就職。社会人3年目で結婚。
Dさん 国立大卒後、大学院(理系)を2008年卒。コンサルティング会社に就職後、同業界内で転職。社会人2年目で結婚。今年第1子を出産。

中野円佳さん(以下、敬称略) 就職活動をしていたとき、皆さんはどのような考え方をしていましたか?

Bさん(以下、敬称略) 父が自営業だったこともあり、「好きなことを形にするのが仕事」という感覚でずっときました。就職したときはやりたい仕事かどうかしか見ていなかったですね。県立高校を出て国立大に入ったのですが、競争を勝ち抜いたという感覚はありませんでした。好きなことをやればいいという価値観で育てられたので。働き始めてから、私の好きなことは長時間労働を伴わないとできないことが分かり、そのどちらかを選ばないといけないというのはつらかったです。

Cさん(以下、敬称略) 私は、就活したときは女性にとっての働きやすさまで考えていませんでした。ただ、内定をもらった2社で悩んだときに、バリバリ働いている女性がいる職場はいいのではないかと思えて、今の職場を選びました。

Aさん(以下、敬称略) 私は当時付き合っていた今の夫が1年先に証券会社に就職していたので、影響を受けて自分も金融に進もうと決めました。職種が総合職、エリア限定総合職、一般職とあり、エリア限定職なら内定はもらえるだろうという自信はあったのですが、将来、自分のキャリアパスが限定されてしまって、同じような学歴の女性がどんどん昇進しているのを悔しい目で見るのはイヤだと思って総合職を受けることにしました。結果的にそれでよかったと思っています。

Dさん(以下、敬称略) 就職を決めたときはワークライフバランスをまったく考慮せず、「ワーク:ライフ」が「100:0」で仕事を選びました。研究者の道を進むか企業に就職するかで悩んだのですが、自分で稼げるようになりたかったのと、研究者が性分にあっているか分からなかったので、就職することを選びました。

―― 自著『「育休世代」のジレンマ』でも、女性にとっての働きやすさを重視せずに就職活動に突入する女性達のその後を追っています。前回の記事で、座談会参加者達が先々について不安を抱える様子をお伝えしましたが、その背景にはこうした「やりがい」重視の仕事選びの結果がありそうです。

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