識名小学校のPTA会長は「保護者の代表」ではない

―― 平成26(2014)年度の総会で、改革を宣言したわけですね。その年度に打ち出されたPTA活動方針「原点回帰の新しいPTA」が、ウェブサイトにも掲載されています。

福里 広報部を無くしてしまったので、PTA活動の情報発信の手段として「識名小PTAホームページ」を立ち上げました。

―― 結論として「お金の問題は大丈夫になった」「美化関係などは、学校から保護者に呼びかけてもらう形で継続できる」。その一方で、PTAは教育行政から見れば保護者の代表ですよね。教育行政からは、どんな反応があったのでしょう?

福里 私には教育委員会からは何もありませんでした。校長のほうにも特には無かったとのことです。

 識名小学校のPTA会長は「保護者の代表」ではありません。PTAという名のサークルの主宰者といった感じ。今年度からは、入学式や卒業式、運動会での挨拶、来賓扱いもお断りしています。「保護者の代表」といった扱いをすると、勘違いして“とんでも会長”になってしまう人がいるかもしれません。私は“PTAバカ”を自認していますが(笑)、“バカPTA”だと笑えないので、そうならないように気をつけたいと思います。

 那覇市PTA連合会からの脱退に対しても、強い反対はありませんでした。当時の市P連会長(那覇市PTA連合会会長)もPTAが任意であることは理解しているようでした。改革を始める前に、市P連会長を訪ねて「“任意入会PTA”への改革」の話をし、会費徴収をしないこと、市P連への分担金も支払えないことなどを説明して、納得してもらいました。私の強い決意を感じ、納得せざるを得なかったのかもしれませんね(笑)。

 市P連会長は、私が最初に会長だったときに、その方も同じく単P(小学校PTA)の会長をしていた方だったので、知らない仲では無く、話しやすかったということはあります。また、市P連事務局へも説明に行き、納得していただきました。

「PTA入会届」を出したのは保護者64人、教師は全員参加

―― 「新しいPTAを考える会」で活動した1年間は、いわばまだ「考え中」の状態だったわけですよね。この1年間、「何がなんでも全員が活動する」状態から少し自由になったところで、よかったこと、逆に不都合になったことはありますか?

福里 そうですね、私としては気持ちがとても楽になりました。長年思い続けていた“任意入会のPTA”という正常な状態にすることができた。また、これからは自分達がやりたい方向に行けそうだという希望が持てた半面、しっかりとやっていかなければとのプレッシャーは感じました。今のところ不都合は思いつきません。

 平成26年度の会員数は、94人で、内訳は保護者60人、先生は全員、先生は全員入会の30人でした。入会率は16.3%! ところが、「ミーティング」への参加者は、多いときで20人弱。平均すると10数人と、思ったよりは少ない。理想としては、20~30人くらいいたほうが、「ミーティング」のやり方にも工夫ができると思います。「ワールドカフェ」とか「ワークショップ」とか。

 ただ、参加人数についてはそれほど気にしていませんが、先生方の参加が少ないのは気になります。現在の参加状況は、2~3人程度です。自由な活動ですから先生方の参加も任意ですが、先生がもう少し多く参加してくれると、良いスパイスになると思います。保護者会員も先生方と話せることが一番のメリットです。「ミーティング」については、それが課題。まだまだ始まったばかり、これから改善していきたいと思います。

―― 先生は全員加入している。謎の現象ですね(笑)。

福里 学級を持たない専門の先生、学校事務も含めて、全員入会しました。校長が入会を呼びかけてくれたようです。やや強めに(笑)。

―― 入会届はどの段階で提出してもらったのですか?

福里 平成26年度のPTA総会時に配布しました。総会後すぐに30人の保護者から入会届をいただきました。

 入会届を出して会員となり、eメールアドレスを登録することにより、ミーティングのお知らせや「ニュースレター」を受け取ることができるようになります。メールはどうしても嫌だという会員が20人ほどいるので、その人達には文書で渡しています。

―― 参加は任意で会費もかからないなら、取りあえず入会して活動しない人もいそうですが、それはそれでいいんじゃないでしょうか。連絡をeメール主体にするのは、経費の面でもいいことですよね。

福里 会費収入が無いので(笑)! 無料のホームページやメールを使って、ミーティングの結果をニュースレターで報告するようにしています。PTA加入の特典は、「ミーティングのお知らせが届くこと」と「ニュースレターでPTA情報が届くこと」ですね。特典なのかどうかは分かりませんが(笑)。

 ミーティングの議題は様々で、例えば先日の議題は、「上履きと外履きを履き替えない児童が多くて、学校中が埃っぽい。どう対応したらいいか」など。普段の些細な子ども達の行動についての話題で、意外と盛り上がるんですよ。

―― ああ、そんな日常的なことを話題にしているわけですね。