トイレでのさく乳、女性社員から「生臭いからやめて」のクレームも
日経DUAL編集部 2009年の横浜市へのグローバル本社移転と同時にさく乳室が設置されたそうですが、日本企業での導入がなかなか進まないなかではかなり早いほうではないですか。
小林千恵さん(以下、敬称略) そうですね。本社移転の計画が社員の耳に入ったのが移転の5年くらい前。前の銀座本社にはさく乳室が無かったので、移転をするならぜひつくってもらいたいと、「ワーキングマザーの会」の会員達の意見をまとめ始め、移転前に新本社プロジェクトの部長に「保育所、さく乳室、学童」の3つを設置してほしいと要望を伝えました。
―― ワーキングマザーの会とは何ですか?
小林 25年ほど前から活動している社内の自主サークルです。現在は300人ほどが在籍しています。
結局、本社移転と同時に実現したのはさく乳室だけで、2013年1月に社内保育所「まーちらんど」が開設しましたが、学童はまだ実現していません。
―― 本社移転前、授乳中の社員はどのようにして乗り切っていたのでしょうか?
小林 現在は子どもが2歳になる4月末まで育休が取れるので、断乳か卒乳をしてから復職する人も多いですが、10年前は育休が最長で1年だったので、子どもが1歳未満で復帰する人が多く、今以上にさく乳室のニーズが高い時代でした。
当時、さく乳の際には社内の医務室を利用することになっていましたが、ベッドの空き状況を事前に確認する必要があるなど不便でした。カーテン1枚で隔てた隣のベッドに誰かが休んでいると思うと気が引けますし。
―― 毎日のことなのにそのたびにアポを取るのも不便だし、何かと気を使いますね。
小林 私自身も上の子のときは産後半年、下の子のときは3カ月で復帰しましたが、医務室を利用しづらく、わざわざ利用者が少ない役員フロアのトイレまで行ってさく乳をしていました。