帝王切開は「諦めないといけないこと」がたくさんある?

 帝王切開は命を第一に考えた医療行為。そのため、自然分娩では認められていることも不可能であることが多いそう。そういった違いや特徴が、帝王切開に対するマイナスな心情にもつながっているようだ。

 たとえば、出産直後に子どもを抱っこするカンガルーケアはできなかった参加者が多く、赤ちゃんに最初に触れたのが自分以外の家族というケースもあった。また、手術なので家族の立ち会いができない病院が多いこと、立ち会える場合でも夫が拒否したり、貧血を起こしたりして途中退場するなど、立ち会いを諦めたという人も。

 一方で、半身麻酔で意識があったため、夫に手を握っていてもらって心強かったという声も聞かれた。

 また、出産直後の写真撮影についても最初から諦めていた人が多かったなか、研修生が手術に立ち会うのを許諾する代わりに、写真撮影の願いが叶った人もいた。

撮影を許可してもらい、術後に赤ちゃんと対面
撮影を許可してもらい、術後に赤ちゃんと対面

 「手術なので、『医師、看護師は命を守ることに専念するため撮影は不可』と言われたのですが、『研修生にお願いできないか』と担当看護師にダメ元で頼んでみたらOKが出ました。でも、当日の朝まで回答を保留されていたので、状況によってはダメだったかもしれませんね。産まれてきたばかりの赤ちゃんとの写真をたくさん撮ってもらい、よい記念になりました」。

 上記は稀なケースかもしれないが、希望のことができなかった人もいれば、相談してみたら意外にOKだったという人もいて、病院によって対応はさまざまのようである。帝王切開での出産は、もちろん「命」を第一に考え、管理が一層厳しい。自由の効かないことも多いかもしれないが、「胎盤を見てみたい」など、思い切ってお願いしてみるとできる場合もあるようだ。例えその病院での前例がなくても、希望を口にしてみることで、満足のいくお産に一歩近づけるかもしれない。