食育スペシャリスト、とけいじ千絵さんによる「子どもの味覚の育て方」特集。後編では、ある程度味覚が固まってきた幼児期以降の子どもの、食との向き合い方についてお話しいただきます。野菜嫌いの子どもにはどうやって接したらいいの? 多忙なDUAL家庭でもすぐにできる簡単&栄養満点な朝食レシピは必見です。 前編「3歳までが勝負! 子どもの味覚の育て方」はこちら

嫌いなものを残されても、めげずに食卓に出し続ける勇気を

 こんにちは。とけいじ千絵です。前回は、離乳期の子どもの食についてお話ししましたが、後編では幼児期以降のお子様向けの話をしたいと思います。

 講座に参加するパパ・ママのお悩みでとても多いのが「子どもの好き嫌い」なんですね。「うちの子は野菜嫌い。ビタミン・ミネラル不足にならないか心配」という声が聞こえてきますが、私の答えは「食べられなくてもOKなので、決して無理強いはしないでください」ということです。

 嫌いなものを食べられるようになるような魔法はありません。そこで無理強いをしてしまうと、前回お話しをした「連想学習」で、本当に大嫌いになってしまいます。食べてほしい食材を選んでお皿にのせるのは親ですが、食べるかどうか決めるのは子どもです。残したからといって、代わりに他の食べ物を与えないでください。

 子どもは見慣れた食材やよく食べる食材に安心を覚え、手を出す傾向があります。毎回残してもしつこく出し続けて、気が向いたらトライできる状態にしておくことが大事です。親がおいしそうに食べるのを見せたり、「お箸だけつけてみようか」「食べなくてもいいから口まで運んでみよう!」などと、遊び感覚でその食材に慣れ親しめたりするといいですね。また大好きなものと組み合わせて調理すると、食べられるようになることもあります。

 実は、私自身も大学生までピーマンが嫌いで食べられませんでした。私の母は決して無理強いをせず、「いつか食べられるようになるはず」と信じて、淡々と出していました。大学時代のある日、突然気が向いて食べてみたら、そこまで嫌うほどマズイものではなかったんです(笑)。それからはピーマンが普通に食べられるようになり今は大好きです。

◇野菜が嫌いなら他の食材でカバー

 野菜全般が嫌いな子のパパ・ママのなかには、悲壮感すら漂わせている人もいますが、幼児期に野菜が食べられなくても栄養学的には実はそれほど問題ありません。

 野菜のビタミン・ミネラルの多くは、加熱をすると失われてしまうので、残っているのは食物繊維くらい。便秘体質の子どもは、野菜に含まれる不溶性食物繊維よりも、のりやきのこに豊富に含まれる水溶性食物繊維を取るほうが効果的なのです。ビタミンやミネラルはフルーツや玄米でも補えますので、足りない栄養は他の食材で補えるようにしてあげてください。