職場でさく乳していたときの気持ちとしては「さく乳した母乳を捨てずに、ストックできたらいいのにと思った」(55%)、「周囲のことが気になって、さく乳に集中することができなかった」(51%)、「恥ずかしくて、さく乳していることを同僚に言えなかった」(45%)、「仕事をさぼっているようで、さく乳していることが後ろめたかった」(35%)などの声が聞かれた。

 両胸をさく乳するとなれば、15分程度デスクを離れなければならず、時間に制約があるワーママの中には休憩時間を削ってさく乳の時間に充てる人もいる。トイレの個室を一定時間占有するため、トイレが混雑すれば心苦しい気持ちもあり、さく乳する際の音やニオイにも気を使う。

 同僚にも言えず、後ろめたい気持ちを抱えながら、ワーママ達がトイレでのさく乳を強いられている状況が浮き彫りになった形だ

(N=77)
(N=77)

日本より進んでいるアメリカ企業のさく乳室事情

 日本ではさく乳専用の部屋を設置している企業はまだまだ少ない。

 「鍵のかかる個室、洗面所、冷凍庫があれば理想ですが、専用の部屋を新たに作らなくても、プライバシーを一定時間確保できる空間と母乳を保管できる冷凍庫が最低限あれば、さく乳スペースは確保できます。普段あまり使っていないスペースを活用するなど、企業側にも難しいことではないはずです」(菅谷さん)

 育休制度が無いアメリカでは、日本よりはるかに短い12週間の産前産後休暇だけで職場復帰をする人が多いこともあり、職場にはさく乳室の環境が整うという。

 公正労働基準法における「子育て中の母親の休憩時間に関する条項」で、雇用主に対し、産後1年までの母親にさく乳に必要な休憩時間と場所を提供することを求めているのだ(従業員50人未満は適用外となる場合も)。

 また、さく乳場所については「トイレ以外の、同僚や他の人から見えずに干渉されない場所」と明記している。