収納スペースは家具ではなく、間取りで確保する

 一つ注意すべきなのは、収納との兼ね合いだ。住まいづくりでは収納の確保が重要なポイントになるが、かといって収納用の家具を置きすぎると空間にまとまりがなくなりがちだ。なにより大型家具に空間を占領されて、部屋が狭くなってしまう。

「収納の役割は家具に求めなくても、間取りで解決することができます。好きな本を飾ったり絵をかけたりしてインテリアを楽しむには、背景となり地となる壁が大切です。例えば8畳のリビングのうち1畳を収納スペースとして壁で仕切ると、リビングとしての広さは7畳になりますが、壁を活かしながら、大型の収納スペースを確保できます。リビングのモノが片付いて掃除もしやすく、すっきりと暮らすことができるでしょう。ウォークインタイプの収納を作るリビングのリフォームは、おすすめです」

インテリアを楽しむときに重要となるのが壁面。オープン棚を設置して、よく使うものを飾りながらしまう
インテリアを楽しむときに重要となるのが壁面。オープン棚を設置して、よく使うものを飾りながらしまう

子ども部屋のインテリアは子ども自身に選ばせる

最近の住まい作りは「家を建ててからインテリアを考えるのではなく、インテリアから住まいをつくるという発想の転換がポイント」だという河崎さん
最近の住まい作りは「家を建ててからインテリアを考えるのではなく、インテリアから住まいをつくるという発想の転換がポイント」だという河崎さん

「ウォークインタイプの収納スペースは棚の奥行きに30~40cm、人が出入りするスペースに40~50cmあればよいので、合わせて80cmの有効幅があればなんとかなります。リビングを仕切ってできた壁面には子どもの絵などを飾ることもできます。リビングは少し狭くても居心地のいい空間が生まれます」

 部屋の壁のうち1面だけ色や素材を変え、好きなものを飾るインテリア手法は、リビングだけでなくほかの居室でも活用できる。特に子ども部屋の場合は、子ども自身に壁の色を決めさせるのが望ましい、と河崎さんは説く。

「大人はともすれば『壁は白いもの』と決めつけがちですが、子どもたちは自由にクロスの色や柄を選んでもよいでしょう。自分でインテリアを選ぶとその部屋に愛着が生まれるので、掃除や片付けの習慣も自然と身に付くケースが多いようです」

 床の色や家具を選び、ものを飾るスペースとして壁をつくるという作業は、まさに家づくりそのものだ。「家を建ててからインテリアを考えるのではなく、インテリアから住まいをつくるという発想の転換がポイントです」と河崎さんが話すように、これから住まいを手に入れる時期にこそ、夫婦や子どもも巻き込んでインテリア・コーディネートに挑戦してみてほしい。

リビングに収納スペースをつくる「リビクロ」という発想

 近ごろは家族が集まって過ごす時間が増え、夫婦の生活小物や子どものおもちゃ、勉強道具などでリビングが散らかりがちだ。そこで積水ハウスでは、リビングにこそウォークインタイプの収納クローク「リビクロ」をつくる間取りを提案している。

「収納スペースをつくるとリビングの広さがその分小さくなりますが、収納用の家具が不要になるのでスッキリとしたくつろげる空間を確保できます。大きな壁スペースが生まれるので、壁掛けテレビを置いたり、絵や本を飾ることで好みのインテリアが実現しやすくなるでしょう」(河崎さん)

 家具はあくまで「見せる」インテリアとして存在し、収納は壁の後ろにスペースを確保する。ハウスメーカーならではの「間取りからインテリアをつくる」考え方だ。

(文/大森広司、写真/菅野勝男)

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