中古住宅はリフォームで窓を断熱化できる

 複層ガラスからLow-E複層ガラス、さらには樹脂サッシと、窓の省エネ化が急速に進みつつある背景には、省エネルギー基準の改正がある。住宅の省エネ基準は2013年10月に改正され、2015年4月から新基準に一本化されたが、今はまだあくまで努力規定だ。

 だが、2020年度には省エネ基準が義務化され、基準を満たさなければ家が建てられなくなる見通しだ。そのため、複層ガラスの採用はもちろん、さらに高いレベルの窓の省エネ化を目指す動きが今後も強まると考えられる。

 というわけで新築住宅については買う人が努力をしなくても、省エネ性能の高い家が買いやすくなるだろう。問題は中古住宅だが、リフォームで窓を省エネ化する方法はある。代表的なのが、既存の窓の内側にもう一つ窓を付ける「内窓」だ。内窓は既存の窓を壊さずに設置できるので工事費が1カ所当たり数万円から可能で、1時間程度で施工できる。断熱性だけでなく遮音性も高まるので室内が静かになる点もメリットだ。

内窓は省エネ住宅ポイントの対象となり、1カ所あたり8000~2万ポイントがもらえる
内窓は省エネ住宅ポイントの対象となり、1カ所あたり8000~2万ポイントがもらえる

 効果の高い内窓だが、窓が二重になるので開け閉めに手間がかかり、見た目も大きく変わることは否めない。二重窓を回避するには窓の交換が必要だが、これまでは窓周りの壁を壊さなければならず手間とコストがかかっていた。「最近では壁を壊さずに交換できる『スマートカバー工法』(MADOショップ限定)が利用できるようになっています。コストは内窓の2~3倍ほどかかりますが、見た目は窓枠が少し太くなる程度で既存の窓とさほど変わりません」(浅見氏)

壁を壊さずに窓を交換できるスマートカバー工法も省エネ住宅ポイントの対象だ
壁を壊さずに窓を交換できるスマートカバー工法も省エネ住宅ポイントの対象だ

 新築でも中古でも窓の断熱性を高めることが、快適で光熱費が安く、掃除の手間も省ける住まい選びのポイントといえそうだ。

(文/大森広司、写真/武田光司)