節税よりも繰り上げ返済のほうが得

 あとは積み立て型の保険についてですが、奥様の個人年金保険は「節税メリットを最大限生かしましょう」という入り方ですよね。

 そういうふうに聞きました。利回り(予定利率)はそんなに高くないけれど、所得控除になるから、それが10万円払うと半分の5万円が控除の対象になると聞きました。

 おっしゃる通りです。今は10万円ではなく上限が8万円なのですが、加入時の控除額はそのまま適用されますので、5万円は継続されます。

 個人年金保険は節税メリットがありますよ、という売り文句で売られていることも多い。しかし、実際には節税される額はごくわずかで控除額に所得税率を掛けた額となる。奥様の場合は税率が20%なので年間わずか1万円だ。

 1万円でもトクしていることは間違いありませんが、保険会社で運用するのははっきり言ってあまりオススメしません。銀行に預けることと意味が違います。ここを勘違いしている人はファイナンシャルプランナーですらいるくらいです。預貯金は1000万円とその利息までは元本が保証されます。でも積み立て型の保険は元本保証ではありません。

 預貯金は預金保険機構で1000万円と利息まで保障される。保険にも生命保険契約者保護機構というものがあり、保険会社破綻時にはある程度の保護がなされるが、貯蓄性の高い保険ほど削減幅が大きくなる。どれぐらい削減されるかは破綻した会社の財政状況や契約内容によって異なるが、いずれにせよ預貯金ほど強く保護されることは無い。

 ですから自分が積み立て型の保険の説明をするときには、「保険会社が破綻しない限りは預貯金と同じ」と必ず説明するようにしています。今の状況ですと明らかに繰り上げ返済の方がお得ですね。10万円繰り上げ返済をすると、約8万円も利息を減らせます。節税メリットよりよっぽど大きいので、こちらのほうがおすすめですね。

 あ、言われてみれば……。保険から繰り上げ返済への振り替えまでは思い付きませんでした。

 ここら辺は総合的に考えると良いと思います。ただ手元の貯金が少な過ぎるので、繰り上げ返済についてはまた後でお話しします。

 2つの終身保険については、う〜ん……微妙といった所ですね。学資保険代わりの終身保険は、期間が短いのでまあこのままでも良いかな、といったところです。

 3大疾病特約が付いた終身保険も、加入前であれば「掛け捨ての3大疾病保障保険と預金にして、保障と貯蓄は分けましょう」というアドバイスをしていたと思います(前回記事を参照)。これも結局は保険会社の破綻リスクをどれぐらい見積もるか、という面もありますので最終的にはお二人に判断していただくしかありませんが、積み立て型の保険を見直す場合は払済み(はらいずみ)にして、解約はせずに保険料は払わないという形にしてください。

 あとはこれ以上積み立て型に入る必要はありません。下のお子様のために学資保険や終身保険に追加で入るのはやめておいたほうがいいですね。金利上昇リスクも考えると低利で固定されるのは有利ではありませんので。