進む、多様化と細分化
「最近の習い事を象徴するキーワードは“多様化”と“細分化”です」と言うのは『ケイコとマナブ』を発行するリクルートライフスタイルの廣田知子プロデューサー。
「最近の習い事は、大人のみに教えていたスクールが子供むけに開講したり、勉強だけを教えていた学習塾が理科実験などの周辺の分野を習い事化したりしたため、多様化が進んでいます」
その一方で、定番の習い事にも細分化が進んでいます。
「例えば以前から人気だった英語でも、定番の歌やカードなどをつかったグループ学習が多かったのですが、マンツーマンでしっかり会話力を鍛えるところが増え、さらには英語劇を演じながら英語を学ぶところや、多読させることで英語力を伸ばそうとする教室も出てくるなど、教え方も多様化、細分化しています」
廣田さんによれば、その背景には子どもを思う親心が隠れているとのこと。
「習い事をさせている親に話を聞くと、必ず『子どもの可能性を広げてあげたい』という言葉が出てきます。そんな親の希望が多様化、細分化を後押ししているのだと思います」
以前、日経DUALで取材した子どもをサッカー教室に通わせている女性は、コーチが言った「サッカーがうまくならなくても、一生好きでいてくれればいい」という言葉に感動したそうです。その言葉に隠れているのは、「子どもが夢中になるものを見つけてあげたい」「子どもの可能性を広げてあげたい」という親心でしょう。
子どもが夢中になる習い事を見つけるには?
では、どうすれば、子どもが夢中になる習い事を見つけられるのでしょうか。
ウィーン少年合唱団の芸術監督を務めるゲラルト・ヴィルトさんは、「子どもに音楽教育を受けさせるときに親が注意すべき点は何ですか?」という日経DUALの質問に対して、「親は決して子どもに何かを強制するべきではない」と答えています。
「強制してはいけません。あなたが置いたきっかけを、その子が手に取るかどうか。それを見るのです」
(「ウィーン少年合唱団芸術監督 音楽が好きになる秘訣」)
今回、日経DUALでは、習い事に関する取材を行いました。スポーツや芸術などの習い事の最新事情や、そこへ子どもを通わせる親たちの思いや悩みを紹介します。ママとパパが置いた「きっかけ」を見ていきましょう。
(文/日経DUAL編集部 大谷真幸)