同じ境遇に置かれているパパ友が助けになる

 友人と付き合う時間を持つことは、男性の働き方の見直しという観点からすれば、大きな価値があります。一人ひとりの男性が自分の仕事中心の生活に疑問を持って、積極的に定時退社したり、有給休暇を取得したりすれば、「働くしかない」と思っていた現実に余裕を持って対処できますからね。

 ですが、共働きのパパとして「働いてさえいればいい」という意識と向き合ってもらうためには、仕事だけではなく家庭での役割についても考えてもらわなければなりません。そこで最も必要なのが、同じ悩みを共有するパパ友の存在です。

 先日、私が担当した市民講座で、最前列に座っていた30代の男性から「もっと子育てに関わりたいのですが、仕事が忙しくて時間をつくることができません。どうすればいいのでしょうか」という質問を受けました。「子育てにしっかり目を向けようと意識していることが、何より重要です。時間は限られているかもしれませんが、今のような心構えで自分のできる範囲のことをやれば大丈夫ですよ」とお答えしました。この回答で安心されていたようなので、こちらとしてもホッとしました。

 家事・育児に積極的に関わりたいと思っているパパにとって、「働くしかない現実」は過酷なものです。だから、仕事と家庭の板挟みになるよりも、「働いてさえいればいい」という意識を持ってしまうほうが、精神的には楽に違いありません。

 こうした、せっかく家事や育児をしようという心構えをしているパパが、いつの間にか「働いてさえいればいい」という意識に引き戻されてしまうことを防ぐためには、専門家のアドバイスよりも大切なものがあるのではないか、と私は思います。それは同じ境遇に置かれている仲間との共感です。当事者だからこそ悩みを理解し、励まし合うことができます。子育て世代のパパには、パパ友が必要なのです。