「子どもにどの時期から、どんな習い事をさせるか?」――。多種多様な選択肢があるだけに、この問題の答えが見つからず迷っているママ&パパは多いようです。そこで特集「習い事のリアル~2015年春~」では、様々なジャンルの子ども(幼児~小学校低学年)向けのスクールを訪問。通っている子どものママや指導者の皆さんにお話をお聞きしました。

「どんな目的でこの習い事を選びましたか?」「習い事を通じた子どもの変化・成長は?」「先生はどんなことを心がけて指導しているんですか?」「子どもの能力や意欲を伸ばすためにどんな接し方や働きかけをしているのでしょう?」――など、習い事で気になるあれこれについて、生の声をご紹介します。

 最初に注目するのは「音楽」。前回は、ヤマハ音楽教室の「幼児科」の先生と通っている子のママ達の声をご紹介しました。今回は、幼児科からステップアップした「ジュニア専門コース」にフォーカスします。

「ただ楽しむ」時期を卒業し、「目標に向けて頑張る」ステージへ

 ヤマハ音楽教室では、幼児科を終えた後、ジュニア専門コースが用意されています。楽譜を読んで歌ったり弾いたりする力、メロディーにふさわしいハーモニーや伴奏型を考える力を養い、音楽的創造力を高めます。

 このコースを指導するのが長島加佳先生。そのレッスン風景はメリハリの利いたものでした。

 幼児科の中村先生と同様、「すごいね!」「今のとてもいい感じ」と多くの褒め言葉を発する一方、「ここはちゃんと覚えなきゃダメよ」「ここはしっかりつかみ取りなさい」と、厳しめの言葉も飛び出します。幼児科よりも難しい課題に挑戦しているだけに「みんなならできると思う。やってみよう」「これをやれば、みんなにとってプラスになるから」と、気持ちを高めるようリードしています。

長島加佳先生
長島加佳先生

 生徒の個性は様々。学ぶペース、上達のペースも異なります。マイペースな子の中には、練習がなかなか進まない子もいるようです。

 「一定のペースで進んでいけない子に対しては、『いつまでにここまでやろう』という目標を設定してあげます。目標とする課題は、その子に合わせて『取り組みやすい』『達成感が得られる』『新しいチャレンジ』など、ポイントを絞って決めるようにしています。それを口約束でなく、テキストに自分で書かせるんです。自分の字は見やすいし、自分の意思で決めたことだという自覚につながりますから」(長島先生)

 「時間がかかる子もいます。親御さんは心配したり、焦ったりなさいますね。でも、講師が諦めることはありません。1週間や1カ月では何も変わらなくても、やり続けていれば必ず成長します。レッスンを始めて2年、3年を経て花開く子も少なくありません。その子によって得意なことは異なります。一人で演奏することで表現力を発揮する子もいれば、アンサンブルで生き生きと輝く子もいます。その子の良さを認め、見守っていくことが大切です」(長島先生)

 レッスンでは、各パートに分かれて一つの曲をみんなで仕上げるアンサンブルも経験します。一緒に演奏する仲間の存在も、子ども達の成長には大きな意味を持つようです。

 「アンサンブルを成立させるためには、他の人を観察したり、思いやったりすることが欠かせません。他の子の息遣いやテンポを気にかけ、調和を図るということ。また、『この曲をどのように表現するか』という話し合いを通じて、お互いの感じ方を学び合うこともできます。生徒さんには一人っ子も多いですが、こうしたグループレッスンを通じて人とのコミュニケーション力が養われているように感じます」(長島先生)