電力小売完全自由化に向けてHEMSの重要性が増す

 大手家電メーカーはHEMSの普及に積極的だ。その背景には2016年をめどにスタートする電力小売完全自由化がある。電力の大口使用者については2000年以降に参入規制が順次撤廃され、地域電力会社以外の電力小売事業者を選べるようになった。完全自由化になると一般家庭でも電力会社を自由に選べるようになる。

 携帯電話やインターネット回線、インターネットプロバイダーサービスのように、さまざまな事業者がさまざまなサービスやプランを提供できることになる。賢く選べば、今よりも安く電気を使えるようになる可能性も大いにある。

 そこでHEMSの出番だ。使用状況に応じた最適なプランを自動的に選択するといったことも可能になるからだ。電力小売が自由化されてどれだけ事業者やサービスプランが多様化するかは未知数だが、HEMSを導入することでお得に利用できる可能性は確実にアップする。DUAL世帯であれば、子どもの教育費がかかる時期なら光熱費などを節約したくなるときもくるだろう。そんなときにHEMSが利用できれば賢い節約ができる可能性もあるのだ。

(文/安蔵靖志=IT・家電ジャーナリスト、写真/石井明和、武田光司、山田哲也)