来る4月26日(日)は、政令指定都市以外の市、特別区、町村の議会の議員および長を決める統一地方選の投票が行われます。これに向けて、認定NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹さんに、働くママ&パパ世代に向けた熱いメッセージを頂きました。

保育園・学童問題を管轄する人を選ぶ地方選は、デュアラー世代の重要課題

 皆さん、こんにちは。認定NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹です。

 共働きで子育て真っ最中、あまりにも忙し過ぎて、統一地方選なんてどうでもいい……と思ってはいませんか?

 4月26日(日)投開票の統一地方選挙について、多くの人は興味が無いと思います。自分の地元の区議会や市議会の議員が3人言えたらいいほうでしょう。でも、それは全くダメです。

 皆さんの町で「保育園が足りない」「学童保育が5時までだ」……、こういった問題に対して、日々「どうなってるんだ!」と怒りを感じている人は多いはず。まさにそういった問題を管轄しているのは、国ではなくて地方自治体なんです。デュアラー世代(共働き世代)の関心があることの9割近くは地方自治体で決まっている、と言っても過言ではありません。私達デュアラー世代こそ、この選挙に無関心でいる場合ではないのです。(参考記事:「駒崎弘樹 保育園の待機児童対策はなぜ遅れたのか?」

 そうはいっても、じっくり政策を見る時間なんて無い……という読者の方のために、まともな候補者を、サクッと効率よく探す方法をお伝えしたいと思います。

まともな候補者をサクッと効率よく探す、3ステップ

1) 「日本を変えるくん」や「何も言ってないさん」に気を付けろ!

 まず、「日本を変える!」といったニュアンスのスローガンを掲げている人には注意してください。今回の選挙は、地方議員を選ぶためのもの。それなのに、国政に関する話ばかりしている。そういう人は、「地方議員は国会議員になるための1ステップ」だと考えている可能性があります

 また、「優しい町作り」や「水と緑の○○町」といった、抽象的過ぎて、結局は何も言っていない候補者もいます。「で、何の課題を解決するの?」と言いたくなってしまう候補者には要注意です。

 僕自身は、「待機児童をゼロにします!」「行政の無駄を省きます!」という、誰にでも言えそうな定番フレーズをふりかざす人に対してもあまり良いイメージを持っていません。その市区町村によって、課題は違うはずなんです。その町ごとの課題を見つめて、具体的な政策を打ち立てて、実際に汗をかいてくれそうな人に頑張ってもらいたいのです。

2) 女性や若者など、マイノリティーの候補者を探せ!

 「学童問題を解決してもらいたい!」など、具体的に進めてほしい政策があるのであれば、その政策を掲げている候補者を選んだほうがいいと思います。ただ、どうしても「何十人もの立候補者の政策をゆっくり吟味している時間が無い」「政策ではイマイチ選ぶことができない」という人もいるでしょう。そういう方には、少し暴論にはなりますが、次のような方法で候補者を絞ることをおすすめします。

 まずは、女性候補者を選ぶ。なぜなら、実社会では半数が女性なのに、地方議会に占める女性議員の割合はわずか数パーセントにすぎないからです。それだけでおかしいでしょ? 地方議会議員の構成比を、実社会の人口構成比に近づけましょうよ!

 次に注目すべきは、年齢が若い候補者。東京23区区長の平均年齢は65歳を超えています。社会全体の平均年齢が65歳なのかといったら、そうではありません(平成27年1月の東京都人口の平均年齢は約44歳)。ここでも、実社会の割合が議会に反映されていないわけです。

 「女性」で、かつ、「なるべく若い人」という視点で見たら、候補者を3人くらいまでに絞ることができると思います。そこから先は、その候補者のホームページをチェックし、その人が歩んできた道やこれから何をしようとしているかを確認することで、投票すべき候補者を選ぶことができるのではないでしょうか。

 もし絞り込んだ候補者について調べても「正直誰に入れたらいいのか分からないな」というときには、よりマイノリティーの候補者を選んでほしいと思います。例えば、LGBT(レズビアン、ゲイ、両性愛者、トランスジェンダー)の人は日本全国に約5%いる(参照『電通総研LGBT調査 2012』)のですが、地方議員にLGBTの人はほとんどいません。その他、障がい者などのマイノリティーも、社会に占める割合と議員の割合がかけ離れている事例の一つです。

3) その候補者は“トンデモ議員”になりはしないか?

 地方議会には一定数の“とんでもない議員”を含んでしまいがちです。皆さんが選ぼうとしている議員も、もしかしたら過去に“とんでもない発言”をしている“トンデモ議員”かもしれません。ぜひ、“とんでもチェック”をしてから投票所に行っていただきたいと思います。

 “とんでもチェック”のやり方は簡単です。Googleで、その議員が何らかの差別的発言をしていないか、ヘイトスピーチを行っていないかを調べるのです。「〇〇議員 差別」「〇〇議員 トンデモ」といったワードで検索すると何かが引っかかってくる可能性もあります。また、Twitterやブログを通して、“とんでもない発言”をしている議員もいます。

 しかし、その候補者を誹謗中傷する目的の悪質なサイトが、何者かによって作られている場合もあるので、そこは気を付けないといけません。