「学童クラブ」と「学校応援団ひろば」の一体的運営

―― 小学校以上の教育方針や学童クラブに対するお考えなど、特に小学生以上の子どもを持つ世帯に対する施策がありましたらお教えください。

前川 練馬区には、児童館内や小学校内などに「学童クラブ」が92カ所あります。

 それと並行して、区立小学校全65校に「学校応援団」があります。こちらは「児童放課後等居場所づくり(ひろば)事業」「学校開放事業」を受けてのものです。今後は、区の職員がコーディネーターとして現場を支援し、この2つの事業(学童クラブと学校応援団)を一体的に運営して、すべての小学生が安全で充実した放課後を過ごすことができるように、改善を進めていきます。

 具体的に言うと、学校施設を弾力的に活用することで、学童クラブの待機児童を解消していくという施策です。また、ひろば事業について、共働き家庭でも利用できるよう、夏休みなどにも実施を拡大し、さらに多くの児童が参加できるようにすることも計画しています。段階的にですが、いずれは全校で実施できるようにしていきたいですね。

 また区立の小中一貫校を設け、小学校から中学校へスムーズにつなげることと、多くの選択肢から選べることも大切にしていきたいと思っています。

多くの選択肢から、区民が本当に望むライフスタイルを選べるようになってほしい

前川 私の最終目標は、目先の待機児童解消だけでなく、家庭で子育てしたい人、子どもを預けて働きたい人が、やむを得ずどちらかを選ぶのでなく、自分で希望するほうを選択できる状態にすることです。

 練馬区は、保育所、幼稚園と学校を、すべて教育委員会が管轄しているという、他の自治体にはない組織体制になっています。そのメリットを活かして、幼稚園と保育所の一元化を目指していきます。

―― 一年で定員を1300人分、拡大する件についてですが、他区の状況では、多くても何カ年計画で合計1000人といった状況で、それ以上の規模で一気に拡大している自治体は珍しいと思います。23区の場合、土地が無いことを筆頭に、保育施設を作りづらい状況があると思います。そのあたりはどうやって解決していくのでしょう?

前川 練馬区は世田谷区に次いで2番目の人口を持っていますから、その分待機児童の数も多くなってしまいます。土地の確保は確かに難しい問題ですが、これまでの練馬区は農地転用ができるなど、比較的、保育所を作りやすい状態にあったことは事実です。1300人の定員増は、私立の認可保育所を中心に行います。保育ママ、小規模保育事業なども加えます。

公立でも私立でも「いいものは、いい」。いいサービスを増やすのが行政の役割

前川 保育行政について思うことがあります。昔は区立を中心に行ってきましたが、練馬区は早い時期から民間への委託を行ってきました。一般論ですが、公立が公立であり続けるためには、民間に勝ることを証明し続けなければなりません。でも国の保育政策は、その点が曖昧です。

 親御さんのほうも「何となく、公立がいい」と思っていませんか? 公立でも民間でも、いいものはいいんです。その中身をよく見極めて、保育施設を増やしていければと思っています。学童クラブについても、基本は同じ考えです。

* インタビューは2014年11月下旬に実施

(ライター/阿部祐子、撮影/鈴木愛子)

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