「子育て世帯が住みやすい」まち。待機児童解消へ向けた取り組みを強化

―― DUAL読者に向けて、練馬区の特色や魅力を教えてください。

前川 東京23区で見ると、練馬区は西の端のほうに位置します。都心へのアクセスなど都市生活の利便性は備わっていながら、郊外の良さも兼ね備えている。農地、公園など緑も豊かです。

 都心は既に完成したまちで行政需要が少ないのに対して、練馬区はファミリー層を中心に人口が増え、都市基盤を整備する必要があり、今後さらに発展していく可能性があります。あるテレビ番組で紹介されていた「プロがおススメするまち」のランキングでは、上位3位までが練馬区にあるまちでした。そういった魅力に対して相対的に地価が安いということで、不動産業者も薦めているようです。

 課題は、区の西部を中心に、道路が未整備のエリアがあること。道路の整備率が低いことは災害時の課題にもなりますので、農地などの緑地を保全しながら道路整備も行い、バランスのいいまちづくりを進めていきます。

―― 子育て世代にも住みやすいまち、ということですが、区のウェブサイトに前川区長が子ども家庭支援センターを利用されているお母さん方と懇談している様子が掲載されていました。このように、区民と交流することは多いのですか?

前川 子ども家庭支援センターを利用しているお母さんとの交流は、行政に何をしてほしいのか、どんな必要を感じているのかをじかに聞こうとして行った試みです。区民との交流や意見交換は、年間を通じて積極的に行っています。

 私は、行政は開かれたものであるべきだと思っています。お母さん方との交流を行って本当によかった。私は家庭で子どもを育てる選択肢も保障すべきだと思っていますが、大都市での子育てでは、やはり孤立しがちなんです。そうならないようにみんなで支え合い、行政も支援していくべきだと思います。

―― その他の子育て支援施策全般について、今後の方針を詳しくお聞かせください。

前川 「待機児童ゼロを目指す」が第一です。

 練馬区では2015年4月をめどに、待機児童の解消を目指して1年間で1300人規模の保育施設の定員増を行います。待機児童解消に向けた取組はこれからも強化していきます。また、単に解消するだけではなく、練馬区独自に保育所と幼稚園の一元化を進め、教育・保育の充実を図ります。

 さらに、在宅で子育てをしている家庭への支援も強化していきます。練馬区独自の幼保一元化に合わせて、子育て世代の親同士の交流の場、子育て相談など、家庭で子育てをしている世帯も含めた大きな視点で子育て環境をさらに充実させるなど、すべての子どもを対象とする施策を充実させていきます。具体的には、子どもと子育て家庭に関するあらゆる相談に応じ、相談内容に応じた専門機関やサービスの紹介、サービスの調整を行う子ども家庭支援センターの拡充です。

 また、0歳から3歳の乳幼児とその保護者の方を対象とした、区立の子育てのひろば「ぴよぴよ」を充実させます。NPO法人など民間団体による子育てのひろばも設けています。親子で自由に訪れ、親子で楽しく遊ぶ場のほか、保護者同士の交流の場としても充実させていきます。私も訪れてみたのですが、利用者からも好評でした。

 併せて、子どもの一時預かりの事業を拡充していきます。それから、練馬型の幼保一元化。特に長時間預かり保育を行う私立幼稚園を増やし、小学校入学まで、切れ目のない支援体制を築いていきます。

―― 2015年4月に施行された「子ども・子育て支援新制度」を受けて、区内で提供される保育のうち大きく変わることがありましたらお教えください。

前川 今お話ししたことに加えて、保育ママや小規模保育事業なども区の認可になり公費負担も広がりますので、充実を図っていきます。