1種目だけじゃなく、なるべく多くの種目を経験させてあげるべき

── 幼い子を持つ親は、まずはスポーツを遊びと捉えて、わが子と一緒に楽しむといったことから始めるのがいいのでしょうか?

セルジオ越後 スポーツに限らず、何でもそうだよね。子どもが熱を出しても行きたいって言うものは、一生懸命にやるのね。熱が出てるのに「学校休みたくない」って言う子どもは、学校が好きな証拠でしょ。「おなか痛いから休む」って言うのは学校が面白くないから。子どもっていうのは、そういうところにとても敏感ですから。

 だから、なるべくたくさんの種目を経験させるのがいいんですよ。もちろん、スポーツじゃないくてもいい。いろんな体験をさせてあげて、可能性を探ったり、ひとつでも多くの選択肢を作ってあげることが、親としては大事なこと。

 1種目だけやったってしょうがない。いろんな種目をやらせてみて、本人がやりたいと思うものが見つかったときに、一番向いているスポーツをやらせてあげればいいんじゃないかって思うのね。親が変に拘束したり強制したりするのは良くない。子どものためって言いながら、自分のためにやらせているんじゃないかって思っちゃうような親もけっこういるからね。

 それで一流の選手になれなかったとしても、いい。きっと、その経験がその子にとって財産になるんだから。僕は「種目は人生の宝くじ」ってよく言うんだけどね。宝くじ1枚買って勝負するのと、いっぱい買って勝負するのと、どっちが確率が高いのかっていうね(笑)。よく考えてみてほしいね。

 そのなかで、子どもが夢中になれるものが見つかったときに、親も全力で応援してあげることがとても大事。サッカーなら、Jリーグの試合を一緒に観戦するとか、野球ならプロ野球の試合を一緒に観戦するとかね。いろんなスポーツのホンモノを見せてあげる。それを見た子どもたちは感動するでしょ。

 もし、チャンスがあれば、憧れている選手に会わせてあげるといいよね。サイン会とかファン感謝のイベントでも何でもいいの。憧れの選手に頭をなでてもらって、「サッカーやってるの? 頑張ってね」なんて言われたら、もう大変だよね(笑)。子どもっていうのは、みんなそうなんだよね。

 第2回では、セルジオ越後さんの辛口トークがさらにヒートアップします。テーマは「日本独特の『補欠』が子どもをダメにする!」です。

(文/國尾一樹、写真/石井明和)