普段の食事は「楽しむ」というには慌ただしすぎる。外食といっても、周囲に気を遣わずに済むファミレスがせいぜい。洗練された空間でシェフが腕によりをかけた逸品を味わう、なんて夢のまた夢……と諦めるのはまだ早い。近ごろは、キッズデーを設ける上質レストランが増えています。
 今回ご紹介するのは「東京・二子玉川にこの店あり」と名高い「エクイリブリオ」。せっかくのキッズデーに、周囲を気遣う「すみません」は不要です、と言うシェフとマダムの心づくしの時間、いただきませんか?

旬の素材をクリエイティブに生かし切る


カラフルなウエルカムプレートが目を楽しませてくれる​

 渋谷駅から田園都市線の急行で10分強。「フタコ」「ニコタマ」と呼ばれる世田谷区二子玉川は、住みたい街ランキングにいつも登場する人気の街だ。駅の周りにはおしゃれなカフェやお店が並び、多摩川の自然にも恵まれ、子育て世代が多く住む。ここに、食通が遠方からも通ってくるレストランがある。

 「エクイリブリオ」。

 レストラン名を聞いただけでは、フレンチ? イタリアン? はたまた他のジャンルの料理なのか、予想がつかない。オーナーシェフの小笠原圭介さんは、イタリアンの名店「アロマフレスカ」で5年、ミシュラン・ガイドブックで三つ星をキープし続けるフレンチ「カンテサンス」で3年修業した人物だ。

 「何料理ですかと聞かれれば、どちらかと言うとイタリアンですと答えています。でも、コースにパスタが登場することはまれですし、肉や野菜のフォン(だし)はフランス料理の基本にのっとって作っています」とシェフは笑う。

 ここの料理にジャンル付けは必要ないのかもしれない。確かな技術に裏打ちされた、洗練された味わい、繊細な盛りつけ……。どのお皿からも素材の香りが立ち上る。

二子玉川らしく、早くからキッズデー開催

 オープンして5年が経ち、料理もサービスも円熟味を増してきた。ランチ、ディナーそれぞれ1コースという当初からのスタイルは変わらない。昼は5皿、夜は7~8皿という構成だ。

 ガラス張りのダイニングには柔らかな光が溢れ、真っ白いクロスの上でカラフルなウエルカムプレートが迎えてくれる。見るからに大人のためのレストランという風情だが、エクイリブリオではオープンして間もないころから月に一度、キッズデーを開催している。

 「二子玉川という土地柄もあり、お客様からのご要望でキッズデーは始まりました」とマダムの恭子さん。


天井から床までガラス張りなので開放感あふれる空間。座り心地を第一にと、椅子はデンマークの家具デザイナー、ヤコブ・ケアのアームチェア

次ページから読める内容

  • 子どものための特別な用意は何も無いけれど
  • この日ばかりは「すみません」はいらない
  • 隅々にまでシェフの世界観が反映されている
  • 一皿入魂の料理でつかの間、日常を忘れる
  • ベビーカーごと入れるよう、テーブルをゆったり配置

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