東日本大震災直後の公演で実感したミュージカルの力

──あなたご自身の体験についてもうかがいたいのですが、まずご自身はご両親とよく観劇をされていたのですか?

 もちろん。僕はボストンの出身ですが、両親が地元の劇場友の会の会員で、いろいろな演目に連れていってくれました。初めて観たのは『ゴッドスペル』というミュージカルでしたが、劇場という魔法にすぐに魅了されましたね。その後まもなく『アニー』も観て、自分とそう変わらない年齢の女の子たちが舞台で頑張っていることに感銘を受けました。11歳ごろにサマーキャンプの余興で初めて演出を手掛け(笑)、以来ずっと演出一筋です。

──お子さんはいらっしゃいますか?

 ええ、息子は16歳、娘は13歳で、彼らが4歳くらいのころから劇場に連れていっています。演目選びについては、「少しだけチャレンジング」なものを選ぶようにしています。台詞劇であるとか、バレエであるとか、何かしら“初めて”の要素があるもの、文化的に多様なものに触れることが大切かなと思っています。おかげで、二人とも観劇は大好きで、娘は歌が得意なので女優になりたいと思っているようです。

──子どもを劇場に連れてゆくことの意義をどうとらえていらっしゃいますか?

 これは『アニー』をやっていて痛感することですが、観劇中の子どもたちの生き生きとした表情をみていると、とても大きな影響を与えていると思います。

 東日本大震災のあった年に、震災の3週間後に『アニー』が開幕したのですが、終演後に子役たちがバケツを持って寄付金を集めたところ、ものすごい額が集まったんです。内容的に(大恐慌という物語の背景と震災という現実が)リンクしたということもあると思いますが、アニーたちの姿を目にして“私にも何かできる! 何でもできる!”という気持ちが呼び覚まされたお客様が多かったのでしょう。観劇というのはそんなインスピレーションを与える場なのだと思います。

■公演情報
丸美屋食品ミュージカル『アニー』
2015年4月25日~5月17日=新国立劇場 中劇場、夏に大阪、福岡、名古屋、新潟を巡演予定
http://www.ntv.co.jp/annie/

(文/松島まり乃)