社員のモチベーション低下はコミュニケーション不足が一因

 そうはいっても、大きな企業であるほど、管理職層の意識を変えるのは難しいというのもまた事実でしょう。すでに危機感を持っている企業は、管理職向けの研修などを始めているようですが、僕自身が大事だと思うのは、やはり上司と部下の間のコミュニケーションです。

 子育てや介護で時間制約のある社員に対して、パワハラ的言動をする上司は論外ですが、意外に多いのが「過剰に気を使う」というパターン。

 本人の気持ちを聞かないで「これを任せるのは無理だろう」「大事な会議があるけれど17時からだから、彼女は呼ばないでおこう」と先回りして配慮し過ぎてしまう。そういった小さなことが蓄積していった結果、当人は“戦力外通告”を受けたかのように感じ、自信を喪失してしまうのです。

 「早く帰らなければいけない=仕事でチャレンジをしたくない」とは限りませんよね? もしかしたら、どうしても挑戦したい仕事があるかもしれないし、帰宅時間についても日によっては工面できるかもしれない。そういった「思い」を日ごろから拾えるコミュニケーションが、本当の意味で「働きやすく、力を発揮しやすい」、会社と個人にとってwin/winの関係の基盤になるのではないかと僕は思います。

 方法は至って簡単。上司のほうからまめに「最近、どう?」と話しかけるように意識するだけできっと効果が出てきます。一度ランチを一緒にしてゆっくり話をするだけでも、上司と部下の間のディスコミュニケーションの問題はたいてい解決するのではないでしょうか。

 自分自身が管理職に当たるという人は、ぜひ試していただきたいです。