労働力の減少に伴って増えることが予想される外国人雇用の影響も大きいでしょう。これまでは日本人同士の「あ・うん」の呼吸ですべてがうまく回っていましたが、今後は多様な文化や価値観をバックグラウンドに持つ環境がスタンダードに。「残業よろしく」「WHY?」という状況があちこちで生まれるでしょう。

 つまり、優秀な人材を集めようと思ったら、組織全体での管理職のイクボス化を進めることが必須!であり、上司が新しい言葉を持つべき時が来ています。

 ダメボスが巣くっている組織は、確実に淘汰されていくだろうと僕は思います。実際、僕の周りにいる同世代やもっと若い世代の人達は、男女問わず、「働きやすさ」を求めて就職・転職活動をする人が多いと感じます。若手はすでにダメボス企業に見切りをつけ始めているのです。

時間制約を持つ社員の強みを企業は生かせる

 企業側にとってもイクボス推進はオトクです。

 残業前提の体制は当然、人件費もかさむわけで、「定時で帰るのが当たり前」の体制に切り替えると、残業コストの削減になります。残業というバッファに頼っていた分、社員を多めに確保しなければいけないという点で、一時的な人件費はかかるかもしれませんが、時間制約のある中で働ける環境を保障された従業員は「ここで成果を出していこう!」と高い意識を持って働いてくれるというのが経営者としての僕の実感です。

 当法人では、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材を確保したいという目的から、LGBT(性的少数者)について勉強する研修を昨年から導入し、当事者の採用も行っています。実際に働いてくれる彼らのアウトプットは素晴らしく、高いロイヤリティーを持って組織全体を活性化してくれるので、経営者としてもありがたい存在です。

 何が言いたいかというと、ダイバーシティー経営は組織の生産性を高める面で“オトク”なのです。