クジラのように海中生活にくら替えする可能性も!?

 地球外の住空間というと、私達はつい地球と同様の空気を満たし、温度調節を施した宇宙ステーションのような環境を想像しがち。しかし、宇宙空間に地球と同じ環境をつくるには大変なコストがかかります。大勢の人を受け入れるキャパシティーを持たせるとすればなおさらでしょう。

 真家さんが「低コストで地球外にヒトの暮らせる環境をつくれる新技術が開発される可能性」を指摘するのはそのためです。

 「ヒトの呼吸に必要なのは酸素だけですから、コストをかけて地球と同様に大量の窒素を含む空気を持っていく必要はありません。一つ考えられるのは、酸素を含ませたネバネバのコロイド状物質で空間を満たす方法。空気ではないネバネバ物質の中での生活など信じられないかもしれませんが、慣れさえすれば大丈夫です。その場合もヒトは環境に合わせて進化することになります。手足がヒレに変わるなどして魚のような体になるかも」

 地球にとどまっても環境の激変に見舞われる可能性は当然あります。温暖化、寒冷化といった気候の変化はもちろんですが、大規模な地殻変動などによってこれまでの生活圏を追われる事態だって起こらないとは言えません。

 「そうなればなったで、生き残った人類は何とかして生きる道を探るはず。山で暮らすなら山、地下に潜るなら地下の環境に合わせて進化し続けます。いずれ海に帰る可能性だってゼロではありません。実際、クジラやイルカはもともと地上で暮らしていたカバのような動物が、ほぼ5000万年前、海に戻ってその環境に適応したのです