前回の記事「hitomi 一人帰宅小学生を犯罪から守りたい」では、2児の母である歌手のhitomiさんが、防犯のスペシャリスト、立正大学・小宮信夫教授に危険な場所を見分ける方法を教わりました。危険かどうかを見分けるのに「景色」に注意することが大切で、その場所が「入りやすいか」「見えにくいか」という2つの危険ポイントを子ども達に意識させるだけで、犯罪に巻き込まれる可能性を大幅に減らすことができるというお話でした。
 では実際、街にはどんな危険ポイントが潜んでいるのでしょう。hitomiさんと小宮先生と一緒に街を歩いてみましょう。

—— 取材場所である都内のスタジオを出たhitomiさんと小宮先生。近辺を歩きながら、実際にどういう所が危険なのか見てみることに。交通量が多い大通りから一本路地に入ってみると、マンションや団地が並ぶ閑静な住宅地が広がっていました。

hitomiさん(以下、敬称略) 先生、この道沿いはマンションが立ち並んでいますね。道路に面している部屋の窓の数も多いので一見安全そうに見えますが、小さな窓ばかりで、一番大きな窓は曇りガラスになっています。家の中の人が道路を見ている感じもしません。「見えにくい」場所なので、危険度は高いのでしょうか。

小宮信夫さん(以下、敬称略) おっしゃる通り、この道は危険です。しかも、見てください、自転車が道沿いに3台放置されていますね。自転車が放置されていたり、ゴミが落ちていたりする場所は、ここが地域の人によって管理されていないということがバレバレだということ。犯罪者はこういう場所を選びやすいんですね。

路地裏、公園には「入りやすい」「見えにくい」危険な場所がいっぱい

hitomi 「管理されていない=見ている人が誰もいない」ということになるからですね。放置自転車やゴミが落ちているかどうかは、危ない場所の目安になりますね。

小宮 逆に、家の玄関回りやベランダに花の鉢植えなどが置かれていると、犯罪者はそこから遠ざかる傾向にあります。やはり住人によってしっかり手入れされている感じが伝わるので、近づきにくくなるんでしょうね。

hitomi お花で撃退ですか! 先生、公園が見えてきましたが、桜もきれいに咲いていて、ここは明るく開放的な感じがします。周りに大きなマンションも立っていますし、安全な場所じゃないですか?

小宮 桜の時期は明るくていい雰囲気がしますね。でも、こうした誰もが通り抜けできる、開放的な公園は逆に危ないんです。というのは、いざというときに犯人が逃げやすいからなんです。またマンションも立っていますが、公園から少し距離があるのと、大きな窓が無いので、住人が部屋の中からこの公園を見ている感じがしません。