にぎやかな商店街は犯罪者が子どもを誘いやすい

—— 続いて、近辺の異なる公園をいくつか見ながら散策していくと、商店街に差し掛かりました。

hitomi 先生、お店がたくさん並んでいるような、活気のある商店街だと危なくないんでしょうか?

小宮 それが意外とにぎやかな繁華街こそ、犯罪者が現れやすいと言えます。というのは、大人と子どもが一緒に歩いていても(連れ去られていても)、周囲から気づかれにくいからなんですね。商店街で何気なく子どもに声を掛けて、そのまま人のいない場所に連れていくケースは多々あります

hitomi にぎやかな場所だからといって、油断できないのですね。「あそこのお店へアイスクリームでも食べに行こうか……」なんて声を掛けられたら、子どもはついていってしまいそうですね。

小宮 そうやって甘い言葉で誘い、人けのない場所に連れていきます。ちなみに、「アイスクリームを食べに行こうか」という分かりやすい誘い文句だと、怪しい人についていくなと普段から言われている子どもは警戒しますね。

 でも「こんにちは、今日は暑いね〜」などと声を掛けられ、しばらく別の話をした後に「おじさん、あまりに暑いからアイスクリームでも買おうかな。君もいる?」などと誘われると、もう警戒心はすっかりどこかに忘れているものです。しばらく話せば、子どもにとってはもはや「怪しい人」ではないからです。犯人は必ずしも「怪しい」とは限りません。どちらかというと「いい人」に見えることが多いのです

hitomi 危険かどうかを見分けるためには、「人」に着目するのではいけないのでしたよね。

小宮 その通り。前回も話したように、「人」ではなく「景色」を見なさいということですね。

 では、子どもが被害に遭う場所で多いのはどこかというと、マンションの外階段の「踊り場」なんです。エレベーターがある場合は、住人はエレベーターを使うので、犯人はここには人が来ないと思いますよね。あと、階段を囲う壁が死角となって外から見えにくいので、より一層、犯罪が起きやすくなるんです。

hitomi 確かに階段を囲う壁がコンクリートだと、誰がいるか外からまったく見えないですね。

小宮 あのマンションを見てください。壁が柵になっているので、人がいると見えやすそうですね。あんなふうに柵になっていたり、あとは格子状になっていたりする所はまだ安全です。そうした観点で自宅や近辺のマンションの階段のつくりを見ていくといいですよ。