2014年7月、49歳以下の女性を対象に新しいカタチの講座型スクール「UZU(うず)の学校」が開校した。校長は、首相夫人である安倍昭恵さん。安倍昭恵校長と共に学校の構想を温めてきたグランドデザイン代表の小川和也さん、そして講師の一人として参加したアーティストのスプツニ子!さんの3人が待つ首相公邸に、「『UZUの学校』が気になる!」と日経DUAL羽生祥子編集長が飛び込んだ。各世界の産業やアート分野を率いるイノベーターたちが感じている日本の潜在的可能性や魅力は何か? そこから見えてくる子どもたちに贈りたい教育の形とは? はたまた首相ご夫妻の家事分担のリアルまで、本音で語ってもらった。全3回シリーズの第1回「安倍昭恵 子どもたちに伝えたい日本が誇る魅力」、第2回「女性活躍、企業と男性の建前と本音」に続き、最終回は「日本の教育の理想形」について迫ります。

小学校3年生からの中学受験対策をどう見る?

左から、グランドデザイン代表の小川和也さん、スプツニ子!さん、安倍昭恵さん、日経DUAL羽生祥子編集長
左から、グランドデザイン代表の小川和也さん、スプツニ子!さん、安倍昭恵さん、日経DUAL羽生祥子編集長

羽生編集長(以下、羽生) DUALの読者は教育にも関心が高いので、ぜひ各界でご活躍する三方に「教育の理想形」についても伺わせてください。東京都心では、中学受験をするのがほぼノーマルとされていて、その準備が始まる時期も今や小学3年生などと前倒し傾向にあります。そのような早期受験では、結局のところ「東大などトップ大学に入れる進路を早めにつかもう」という親の思いが見てとれます。私自身は塾通い文化のない地方の田舎で育ったので違和感を感じたりもするわけですが、皆さんはどう思われますか?

小川和也さん(以下、小川さん) 僕自身は80年代に中学校受験をしたんです。当時はまだ珍しくて小学校で3人くらい。先生にも奇異の目で見られたりして、「中学からわざわざ私立に行く意味がわからない」と言われ、子ども心に傷ついたのを覚えています。ああ、珍しいことは肯定されにくいんだなあって。それがベンチャースピリットの源泉になったのかもしれませんが(笑)。時代が変われば、珍しいことも当たり前の状況になったりします。教育の方針は家庭それぞれだとは思いますが、この前、深夜23時くらいに都心の住宅街を塾のカバンを背負った小学校低学年の女の子がトボトボと歩いているのを見て、何とも切ない気持ちになりました。うーん、こんな時間まで塾に通わなければいけない現実ってどうなのかなと。突き詰めれば、やっぱり公教育を強化していく必要はあるのではないかと。

羽生 どう強化すればいいと思いますか?

小川さん まずは教育のプログラムですよね。もちろん、基礎学力が応用力につながるので、座学的な授業は欠かせないと思いますが、子どもの頃から将来のことをワクワクしながら考えられるような「生きた話」を、多様な大人から聞けるような場を作りたいですよね。アーティストになろう、ベンチャー企業を立ち上げよう、居酒屋をやろう。そんな自由な発想を育てられる教育が大切だと思います。大人向けにやっている「UZUの学校」みたいなことが子どもたちにもできたらいいですね。