小学校3年生からの中学受験対策をどう見る?
羽生編集長(以下、羽生) DUALの読者は教育にも関心が高いので、ぜひ各界でご活躍する三方に「教育の理想形」についても伺わせてください。東京都心では、中学受験をするのがほぼノーマルとされていて、その準備が始まる時期も今や小学3年生などと前倒し傾向にあります。そのような早期受験では、結局のところ「東大などトップ大学に入れる進路を早めにつかもう」という親の思いが見てとれます。私自身は塾通い文化のない地方の田舎で育ったので違和感を感じたりもするわけですが、皆さんはどう思われますか?
小川和也さん(以下、小川さん) 僕自身は80年代に中学校受験をしたんです。当時はまだ珍しくて小学校で3人くらい。先生にも奇異の目で見られたりして、「中学からわざわざ私立に行く意味がわからない」と言われ、子ども心に傷ついたのを覚えています。ああ、珍しいことは肯定されにくいんだなあって。それがベンチャースピリットの源泉になったのかもしれませんが(笑)。時代が変われば、珍しいことも当たり前の状況になったりします。教育の方針は家庭それぞれだとは思いますが、この前、深夜23時くらいに都心の住宅街を塾のカバンを背負った小学校低学年の女の子がトボトボと歩いているのを見て、何とも切ない気持ちになりました。うーん、こんな時間まで塾に通わなければいけない現実ってどうなのかなと。突き詰めれば、やっぱり公教育を強化していく必要はあるのではないかと。
羽生 どう強化すればいいと思いますか?
小川さん まずは教育のプログラムですよね。もちろん、基礎学力が応用力につながるので、座学的な授業は欠かせないと思いますが、子どもの頃から将来のことをワクワクしながら考えられるような「生きた話」を、多様な大人から聞けるような場を作りたいですよね。アーティストになろう、ベンチャー企業を立ち上げよう、居酒屋をやろう。そんな自由な発想を育てられる教育が大切だと思います。大人向けにやっている「UZUの学校」みたいなことが子どもたちにもできたらいいですね。