昭恵さん そんな大それたものじゃないです。私はいつもゴールを決めずに突き進んでいるうちに、道が決まってしまうタイプ。自分が楽しいからやっているだけで、せっかくならみんなで楽しいことやりたいと思っています。

スプツニ子!さん(以下、スプ子さん) 講師として参加させていただいてビックリしたのは、昭恵さんのフラットな振る舞いやキャラクターです。これまで私は日本の首相夫人というと「3歩下がった女性」というイメージがありましたが、昭恵さんは意思が強くて、やると言ったらやるタイプ。きれいごとじゃなく本音で語る”パンク”なところが驚きだったし、良い意味で「え?こんな方が首相夫人なんだ!?」と嬉しかった(笑)

本音を語れる人が日本をこれから変えていく

日経DUAL羽生祥子編集長。「日本の新しいリーダーを、文化やアートの世界から発信しようとするのが素晴らしい」
日経DUAL羽生祥子編集長。「日本の新しいリーダーを、文化やアートの世界から発信しようとするのが素晴らしい」

昭恵さん パンク…うれしいです! でも、本音で言わないとつまらないし、何も変わらないと思います。日本人は表面的なことしか語れない人が多いけれど、3・11以降は本音で語り出す人が増えましたよね。本音を隠しきれなくなったというか。これからの日本を変えるのは「本音を語れる人の力」だと私は信じているんです。

羽生 昭恵さんのインディペンデントな実行力は、女性たちに勇気と元気を与えますね! 日経DUALの読者は子育て中の共働きの方が大半で、「次世代に何を伝えるべきか」というテーマにも関心が強い世代です。「UZUの学校」でも日本が磨くべき可能性や強みについて議論する講義があるかと思うのですが、日本が誇れるものって何だと思いますか?

社会のどこを見渡しても「プロ意識」があるのが日本の強み

昭恵さん 一つには、「協働する力」だと思います。日本人は欧米人に比べて自己主張をしないことが弱さとしても語られますが、自分を押し付けずに、相手の持ち味も活かしながら一緒に作っていくのがとても得意。上から押しつけずに、一緒に協働する。だから、世界中どこに行っても「日本はいい国だね」って言ってもらえていると思います。これはお世辞でなく、本当だと思います。もう一つ、日本が誇れるのは、どの職業をとっても自分の仕事に対して熱心であることです。例えば、新幹線の清掃係の方が、停車中の限られた時間内に完璧に車内清掃をする姿。駐車場のガイド係の方が腕をいっぱいに上げて声を張って案内する姿。社会のどこを見渡しても、プロ意識が行き届いているのが日本の素晴らしさだと思います。新幹線の清掃は海外から来た方は驚いて見ているし、あれだけで観光資源になると思うくらいです!

スプ子さん 誠実ですよね。良くも悪くも、どんな小さいことも誠実にやっていくような真面目さや熱さが、日本の文化を作り上げてきたんだと思います。