大阪市の敷津小学校で民間人校長を務める山口照美さんは先日、2回目の卒業式、そして3回目の入学式を迎えました。新しい1年生を迎えた今、改めて卒業していった6年生に向け、一人ひとりの顔を思い浮かべながら書いた式辞を紹介します。

 入学式を終え、改めて「卒業式~入学式」までの学校と季節の変化に驚く。三度目の春でも、慣れない。卒業生を見送り、在校生を春休みに送り出し、離任する仲間を見送る。「寂しくなったね」という間もなく、新たな教職員が新鮮な緊張感と共に仲間に加わる。校庭では桜が一気に咲き、大きなランドセルを背負った新入生がやってくる。別れと出会い。公募校長3年の任期、最後の年と決めている。しかし、新1年生のあどけなさや新6年生の引き締まった表情に出会うと、成長に立ち会える喜びに舞い上がりそうになる。「教師は一度やったらやめられない」。ベテラン教師の多くから、同じ台詞を聞いた。その通りだ。

卒業生に贈る、感謝と祈り

 3月に、校長になって2度目の卒業生を送り出した。どの子も、思い入れのある子ども達だ。卒業式で校長が読む式辞は、一人ひとりの顔を思い浮かべながら書く。今年は、2本の原稿を書き、迷いに迷って、やはり一番伝えたい願いを込めたものを選んだ。卒業生に向けた部分だけを、掲載したい。

 今年は教頭先生達に勧められて、担任教師と一緒に袴を着た。子どもより目立たないよう和装は避けるべきだという意見と、大人の本気やカッコよさを見せる意義があるという意見のどちらもあり迷ったが、子ども達は無邪気に珍しがって喜んでくれていた
 今年は教頭先生達に勧められて、担任教師と一緒に袴を着た。子どもより目立たないよう和装は避けるべきだという意見と、大人の本気やカッコよさを見せる意義があるという意見のどちらもあり迷ったが、子ども達は無邪気に珍しがって喜んでくれていた

(前略)

 さて、六年生のみなさん。ご卒業、おめでとうございます。そして、お礼を言わせてください。君たちは、創立140周年という節目の年に、たった13人で全校児童を引っ張っていく、リーダーの役割を果たしてくれました。記念式典や運動会の行事だけでなく、縦割り班や委員会活動など、君たちのうち1人が欠けても、やり遂げることはできなかったと思います。本当にありがとう。今、ここにいる四年生と五年生がその姿を見てきました。先輩の思いを引き継ぎ、141年目のチーム敷津を引っ張っていってくれることでしょう。

 卒業生のみなさんを送るにあたり、私だけでなく、おそらくここにいるすべての大人が思っていることは、1つです。それは、君たちに「幸せな人生を送ってほしい」ということです。
 「幸せ」と一言で言っても、その意味は一人ひとり違います。スポーツや勉強で高い目標を持ち、乗り越えることを「幸せ」と感じる人もいれば、家族や仲間と支えあい、楽しく過ごすことを「幸せ」と思う人もいます。他人と比べる必要は、ありません。それぞれの幸せを、見つけてください。幸せな気持ちで過ごせる人は、周りの人も幸せにします。

次ページから読める内容

  • 『幸せ』とは、自分の意思でなるもの
  • 運命は、自分で変える。

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