「いいママ」というプレッシャーのもとでの、孤独な子育て

安田:ところで、おふたりは、子育て中のパパなんですよね?

中岡さん:はい。私には、1歳半の息子と、3カ月の娘がいます。ちょうどこの本を出版した次の日に、娘が産まれました。

境さん:わが家には、大学1年生の男の子と、高校1年生の女の子がいます。ひとり目が生まれたとき、私は会社から独立して自宅で仕事をしていたので、家にはいたほうだと思います。妻には「なんにもやってくれなかったじゃないの!」と言われてしまいそうですが、私は育児参加していたつもりです(笑)。

安田:「ホリプロ保育園」は、「子育ての孤独をなくしたい!」というテーマをもって活動していまして、「ママ・パパの抱える子育ての孤独」についてうかがいたいのですが……本の中に、「『私は母親として何か欠けているのだろうか』。そんな葛藤に多くのお母さんはたったひとりで苦しみながら、終わりの見えない子育てに向き合っている。」という一節がありますね。

境さん:この一節を書いたのは、私の心に今でも鮮明に残っている映像がありまして……。上の子がまだおっぱいを飲んでいたころに、私の帰宅が遅くなった日があったんですね。すると妻が、陽が暮れて真っ暗になった寝室で、電気もつけずに、赤ちゃんを抱えてぼーっとしていたんです。「これはいかん。ひとりで相当大変だったんだろうな」と。妻を見て、「子育てって、孤独なんだな」と痛感しました。

安田:でも多くのママたちは、「孤独だ」と口にできずに、良妻賢母であれというプレッシャーを感じながら子育てしていると思います。パパは、子育ての孤独をどのように感じていますか?

中岡さん:私も境さんと同じように、サラリーマンを経験してから独立し、昨年出版社を立ち上げました。今は自宅がオフィスなので、会社勤めの男性よりは、子育てに参加できていますが……もしあのまま、横浜から埼玉まで通勤して、「22時に帰れたら早いね」という生活を続けていたら、妻を孤独にさせてしまっていたな、と思います。